2015年7月27日以前の記事
検索
連載

4000万円が92万円まで減少も? 急増する“レバナス信仰”の裏に隠れた投資信託「負の側面」古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/4 ページ)

小さい資金でも比較的短期で資産形成ができるとして、一部の投資初心者から人気を集めているレバレッジ型の投資信託。しかし、この類の投資信託は、本来であれば長期投資には全く向いていない。上昇相場においての破格のリターンがクローズアップされがちだが、その裏に隠れたリスクを見過ごして運用をしてしまえば、顧客の人生計画は大きく狂いかねない。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

4000万円が92万円に? レバレッジ投信リスク

 金融市場といえば、ブラックマンデーやITバブル崩壊、リーマンショックといった大小の株価低迷局面にたびたび出くわす。そこで今回は、もしITバブルのピーク前にレバレッジ2倍のNASDAQ100連動投信を1000万円分運用した場合、どのような経過をたどるかをシミュレーションした。

 その結果、もし今後ITバブル崩壊クラスの株価下落局面が発生した場合、その時点でレバレッジ2倍のNASDAQ100連動投信を4000万円運用し続けると、下落のピークで資産額が92万円になる。

ITバブル崩壊クラスの下落局面では、4000万円が92万円になる オコスモ作成
ITバブル崩壊クラスの下落局面では、4000万円が92万円になる

 ほかにも、レバレッジ型投信は主に横ばい基調の局面で資産を減らす「減価」リスクが大きいなど、レバレッジ型の投資信託には投資の期待値を低下させる要因も多い。

 確かに、今のNASDAQ100指数はITバブル崩壊当時よりも高値で推移していることから、持ち続ければ何とかなるとも考えられる。しかし、レバレッジ型投信の運用残高が上記の例のように98%も減少してしまえば、繰上償還が発生し、資産額を大きく減らしたまま、運用の継続すら許されないというリスクもある。

 仮に老後資金のために積み立てていたレバレッジ型の投資信託が、運用のラストイヤーで株価急落の憂き目にあった場合は、繰上償還がなかったとしても、残りの寿命ではマイナス分を取り返せない可能性もある。

 確かに短期でのリターン拡大という観点においてはレバレッジ型の投信に優位性がないこともない。しかし、レバレッジの負の側面も頭に入れた上で「出口戦略」を事前に講じておかなければ、早期リタイアどころか顧客の人生計画そのものが狂いかねない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る