連載
JFEホールディングス柿木厚司社長を直撃 高品質の鉄鋼製品を安定供給できるメーカーに:JFE柿木社長を直撃【前編】(5/5 ページ)
国内の鉄鋼需要が減少する中で、大手鉄鋼メーカーは生き残り策を模索している。本業の鉄鋼生産は二酸化炭素を多く発生させるため、大幅な削減策の実行を迫られている。今の時代を「創業以来の最大の変革期」と捉え、この数年で過剰だった製鉄設備を再編するなど大胆な社内改革を実践している柿木厚司JFEホールディングス社長にインタビューした。
値上げに悲鳴上げる造船業界
――ユーザーの一つである造船業界は、大幅な値上げに対して悲鳴を上げているようですが。
JFEは旧NKKの造船部門が統合されるなどしてできた国内造船2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)に35%出資しています。造船業界は大規模な最新設備を擁する中国と韓国のメーカーによる安値受注の問題と、日本の造船メーカーは設備が老朽化して生産効率が低いという問題があります。設備に関しては海事産業法により資金を投入して設備を更新して生産性を上げてコストを下げる必要があります。
船の世界は鋼材などの材料費用が決まる前段階で船主と値決めする商習慣があります。鉄の値段が変わらなかった2000年ごろまではこのやり方で良かったのです。しかし、いまは鉄鉱石の価格が倍、3倍になる時代なので、サーチャージ制を導入するなど、この値決め方式を変えなければ、造船事業自体があまりにもギャンブルになってしまいます。
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