ブッダに学ぶ生き方改革! 「45歳定年」がささやかれる現代社会で必要とされる人材になるには:大愚和尚のビジネス説法(1/3 ページ)
2021年9月に開かれた経済同友会のオンラインセミナーにて、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が提言した「45歳定年制」が大きな波紋を呼びました。多くの賛否両論がありましたが、私自身は、新浪社長の提言自体、社会に対する一つの重要な問題提起だったと感じています――大愚和尚に聞く、定年までの“生き方改革”とは?
大愚和尚(たいぐおしょう)のビジネス説法
「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶、大愚和尚(たいぐおしょう)が、ビジネスにまつわる疑問、悩みを“仏教の視点を持って”解決。今回のテーマは「定年」。「45歳定年」発言が話題になった2021年、その是非はさておき、“定年まで必要とされる人間”になるには何が必要なのか? 和尚が説く。
まずは、現実を見据えよ
昨年9月に開かれた経済同友会のオンラインセミナーにて、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が提言した「45歳定年制」が大きな波紋を呼びました。
新浪社長が使った「定年」という言葉や制度についての批判。または、新浪社長の提言は「政府が企業に対して70歳まで社員を雇用する義務(現在はまだ努力化だが、これまでも努力化→義務化を繰り返してきた)を課そうとしている方針に対しての危機感から出たものではないか」という擁護――多くの賛否両論がありましたが、私自身は、新浪社長の提言自体、社会に対する一つの重要な問題提起だったと感じています。
その理由は、「45歳定年」という、一見、現代に生きる日本人の感覚からすると若過ぎる定年についての提言が、生き方や働き方といった人生の本質を問うものだったからです。
日本人の平均寿命は年々延びています。厚生労働省の「簡易生命表」に表されている平均寿命の推移によれば、1950年の平均寿命は、男性が58.0歳、女性は61.5歳でした。それが2010年になると、男性が79.64歳。女性は86.39歳になり、さらに60年には女性の平均寿命は90歳を超えることが予想(内閣府資料より)されています。
平均寿命の上昇にともなって、定年制度も変化してきました。昭和初期に55歳でスタートした定年は、98年には60歳に引き上げられ、06年には65歳までの雇用確保措置が義務化されました。そして今、定年は70歳へと動きつつあります。
税収を見込める政府や、給与をもらえる期間が長くなる被雇用者にとって、この流れは喜ばしいことでしょう。けれども、人件費が重くのしかかる経営者、雇用者にとって、この流れは必ずしも歓迎されるものではありません。
長く勤めてくれた人を大切にする会社でありたい。同時に、新しい時代に向けて新陳代謝も促していかなければならない。けれども、上がり続ける定年、増え続ける人件費に比例して、毎年増益できるわけではない。経営者のジレンマは、痛いほど分かります。 私自身、小さい会社ではありますが、創業した会社の雇用者、経営者という立場にあるからです。
また、被雇用者の立場や気持ちも理解できるつもりです。零細企業、中小企業の創業経営者にとって、従業員は家族のような存在ですから。
では、どうすればいいのでしょうか。
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