2022年の外食産業はどうなる? 「オンザライス系」と「大衆食堂」に注目すべき“合理的”な理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
2021年の外食産業はコロナに翻弄され続けた。22年にはどのような業態が流行するのだろうか。筆者が「オンザライス系」と「大衆食堂」に注目する理由とは?
大衆食堂とオンザライス系に注目
22年にはどのような業態が流行るだろうか。
食料自給率がカロリーベースで37%と低い日本は、輸入に頼る牛肉や大豆、小麦粉などのさらなる価格高騰を覚悟しないといけない。そうなると、原料調達が厳しくなった外食は、売価を上げるしかなくなってくる。牛丼3大チェーンの「吉野家」「松屋」「すき家」だけでなく、「いきなり!ステーキ」や「丸亀製麺」などは、すでに値上げに舵を切っている。いずれ他の店も値上げを迫られるだろう。
また、マクドナルドが北米から輸入している「マックフライポテト」が一時期、物流の遅延によりSサイズのみの販売しかできなくなった。このような事態が、さらに発生する可能性がある。国内で安定自給できる食材を探さなくてはならない。
そうなると、日本で自給できる食材である「米」の存在感が増してくる。21年に最も流行った店の一つに、「挽肉と米」がある。東京の吉祥寺と渋谷にある炭火焼ハンバーグの店だ。「挽きたて」「焼きたて」「炊きたて」をコンセプトとしており、ハンバーグ・オン・ザ・ライスを推奨している。
21年10月には、渋谷に「まぐろとシャリ」という海鮮丼専門店もできて、人気となっている。
寿司や天丼、かつ丼、うな丼など丼物を含め、22年は「オンザライス系」が注目される。ただし牛丼のような牛肉に頼る業態や、食用油を大量に使う揚げ物は、原料の価格次第だ。
また、先ほど紹介した定食のまる大と話題が被るが、大阪の人気店「大衆食堂スタンド そのだ」が21年9月、東京・五反田に進出して連日盛況だ。コの字型カウンターをメインとした内装が特徴で、昭和の食堂を現代的に解釈して再構築した、1人でも飲み食いできる店だ。ルーツは尾道ラーメン店で、中華そば、チャーシューエッグのような中華系のメニューが面白い。
大衆食堂は定食が食べられ、ちょい飲みにも良い業態で、回転率も高い。東京都心部はテレワークで人口が減っており、大宮、船橋、立川、町田のような郊外拠点都市が面白い。他の大都市圏も概ね傾向は同じだろう。
22年は、コロナ禍で閉店を余儀なくされた元居酒屋が、定食屋などで再チャレンジする姿が多く見られそうだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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