リーマン前も現れた「二極化相場」が今年も発生? グロース株に忍び寄る利上げの“影”:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
コロナ禍が招いた「二極化」は業界だけではない。金融緩和の結果「グロース株」が選好され、「バリュー株」は割安段階で放置されるという相場の二極化も招いた。このような動きはリーマンショックの前夜にも現れていた。グロース株の不振がこの先の経済的なショックを示唆する可能性もある。
コロナ禍は、経済の「二極化」を招いた。2020〜21年にかけて、旅行や航空業界が深刻な打撃を受ける一方で、GAMAM+Tと呼ばれる米国テック企業が株価と業績を大きく伸ばしている(GAMAM+T:グーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ)。
コロナ禍が招いた「二極化」は業界だけではない。各国がコロナ対策で金融緩和を推し進めた結果、金利の低下によって期待成長率の高い「グロース株」が選好され、期待成長率の低い「バリュー株」は、依然として割安段階で放置されるという相場の二極化も招いた。
22年までのグロース株とバリュー株を指数で比較してみよう。国内におけるグロース株の代表的な指数であるマザーズ指数と、TOPIXを比較すると、そのパフォーマンス格差は歴然だ。
21年1月の始値を100としたTOPIXにおけるパフォーマンスは、+12.46%と、日本株の平均的なリターンといわれる4%を3倍以上上回る好成績となっていた。一方で、マザーズ指数は21年以降は一貫して下落トレンドを続けており、そのパフォーマンスはマイナス26.55%と大幅に低下している。
とりわけ、米国における利上げ観測が加速してきた11月後半からの下落が著しく、1月6日に公開されたFOMC議事録の公開によって利上げタイミングがさらに加速するという見通しが高まった結果、マザーズ指数は昼までに前日比で4%以上も値を下げている。
海外に目を向けても、以前に取り上げた「レバナス」の原指数であるNASDAQ100の下げ幅が突出している。同指数の前日比はマイナス3.12%と、ダウ平均のマイナス1.07%やS&P500のマイナス1.94%と比較しても悪かった。
このような動きは、リーマンショックの前夜にも現れていた兆候だった。グロース株の不振がこの先の経済的なショックを示唆する可能性もある。
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