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世界初! 道路も線路も走る「DMV」が登場して、何が変わろうとしているのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/8 ページ)

2021年12月25日、徳島県と高知県を結ぶ「阿佐海岸鉄道」で、鉄道と道路を直通できるDMV(デュアル・モード・ビークル)の運行が開始された。旅客用としては世界初の実用化で、国内外から多くの乗りもの好きが訪れるだろう。しかし観光地になるためには、まだまだやるべきこともたくさんあると感じた。

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DMVで観光客は来るのか

 2回目で徳島県の英断を歓迎し声援を送った。3回目も「迷うな、おもしろいでいいんだよ」と呼びかけた。この記事が高知県東洋町観光振興協会の会長、福井宣博氏(当時)の目にとまり、高知県の観光振興アドバイザーに推薦していただいた。

 ここから高知県東洋町と徳島県海陽町の合同プロジェクト「あさチェン推進会議」に参加させていただき、何度か現地に赴いた。4回目の記事は会議の出席と現地取材を元に書いている。

 当時は沿線関係者一同、不安だったようだ。DMVの導入は地元の要望ではなく、徳島県知事と県庁の次世代交通課の主導で行われた。次世代交通課はDMVに限らず、地域バスから新幹線誘致、燃料電池バスなど広範な交通整備を計画する部署だ。

 積極的な県庁に対して、地元では鉄道への関心が薄い。そもそも当時、阿佐海岸鉄道は定期券が一枚も売れていなかった。トップダウンで「県が主導でDMVを導入する。観光面でがんばってほしい」といわれてもピンと来ない。

 「鉄道ファンから見てDMVはおもしろいですか」「DMVが走れば鉄道ファンは来てくれますか」これを何度も聞かれた。もちろんどちらも「イエス」だ。しかし、地域に魅力がなければ、鉄道ファンも観光客も、DMVに乗るだけで帰ってしまう。沿線に恩恵がない。


阿波海南駅のモードインターチェンジ。撮影スポットが用意されている

阿波海南駅の停留所。標識はサーフボード型。沿岸は日本でも有数のサーフィンの名所

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