「東京チカラめし」が香港で大当たり! 想定の2倍で売れている理由:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
かつてブームを起こした牛丼チェーン「東京チカラめし」が、香港に進出している。2021年6月に1号店をオープンしたところ、連日行列ができるほどの盛況ぶり。日本での店舗数は激減したのに、なぜ香港でウケているのだろうか。
売り上げは想定の2倍
現地のメニューを見ると、「焼き牛丼」「焼き豚丼」「カレーライス」「生姜焼き定食」「味噌汁」など、50種類ほど用意していて、価格は日本とほぼ同じ。人気メニューはやはり「焼き牛丼」だが、香港の特徴は「それだけ」ではない。トッピングとして、温泉玉子、焼き餃子、からあげがよく売れているという。さらに、ジュースを注文する人が多く、客単価は900円ほど。オープン前は700円ほどを見込んでいたので、うれしい誤算といっていいだろう。
ちなみに、日本での客単価は600〜700円。「香港で働く人の平均年収は高く、食事に対しての節約意識が低いこともあって、客単価が高いのかもしれません」(津田さん)。1店舗当たりの売り上げは1日30万〜40万円を見込んでいたが、2倍ペースで推移しているという。
それにしても、なぜ想定を上回る結果が出ているのだろうか。「東京チカラめしが流行っていたとき、来日して食べられた人が多かったのかもしれません。香港で久しぶりに食べて『おいしい』と感じた。その人たちの口コミによって、広がっていったのではないでしょうか」(津田さん)
香港での出店は、5年で10店舗を予定している。しかし、1号店が好調だったことを受け、前倒しで3店をオープンした。今後については「様子を見ながら、出店していく」というが、ここで気になることがひとつ。先述したように、日本では急成長した反動で、オペレーションなどの問題が噴出した。結果、大幅な縮小に追い込まれたわけだが、香港でも出店ペースを急いで、日本と同じことが起きるのではないだろうか。
話はちょっと変わるが、同社は16年にフィリンピンに進出した。2店舗を出店したものの、うまくいかず閉店することに。価格を高めに設定したこともあって、ターゲット層とのミスマッチが生じ、撤退した経験をもつ。
日本での大幅な縮小、フィリピンでの失敗――。この2つの経験を生かして、香港での3店には注力していく予定だという。しっかりした商品を提供して、オペレーションもうまく回す。基盤がしっかりすれば、その後も成長できるのではないかと見ているようだ。
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