美容師の働き方はなぜブラックなままなのか──土日休みにこだわる人気店が、業界に問う課題:3年で5割以上が辞める(1/5 ページ)
土日は休めなくて当然、働き方はブラックで当たり前──そんな美容業界の在り方に警鐘を鳴らすのは、日曜定休の人気美容院を経営する海野貴裕さんだ。海野さんに、これまでのキャリアで培ってきた働き方への考え方や、顧客との向き合い方を聞いた。
国内に約25万店舗ある美容院。ほとんどが個人経営で、従業員数4人以下の小規模店が7割を占める。“カリスマ美容師”などの華やかなイメージとは裏腹に、働き方には根深い課題を抱えている。
人気の美容院が土日休みにこだわる理由
千葉県海浜幕張の住宅街に店を構えるヘアガーデン テンダネスは、リクルートが主催する「ホットペッパービューティーアワード」で3年連続全国1位を獲得する人気店だ。
美容院にしては珍しく日曜が定休日。オーナーの海野貴裕さんは、美容師の働き方に警鐘を鳴らす。
「子どもが小学生になって土日にイベントが集中するようになり、自分が運動会も見に行けないことに違和感を覚えるようになりました。この業界は常に若い人が入ってくるので問題を先延ばしにできただけで、土日に休める環境を作らないと、今後ますます離職率が上がっていくと思います」
厚生労働省の調査によれば、美容師を含む生活関連サービス業・娯楽業の離職率は3年で56.1%。美容師に絞ればもっと高いだろうといわれている。さらに少子化も手伝って美容学生は減っている。
一方、美容院は増え続けている。カリスマ美容師ブームをきっかけに美容師になる人材が増え、“美容師界の団塊の世代”とされる今の30代後半〜40代が徐々に独立したことが大きな一因だ。2019年は過去最高の25万4422軒。コンビニの4.5倍を超える飽和状態で、求人を出しても来てくれないという負のスパイラルに陥っている。
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