「遺体ホテル」に「マンション坊主」 2040年の多死社会は、葬儀ビジネスをどう変える?:1日に4600人が亡くなる(3/3 ページ)
日本は2040年に多死社会を迎える。1日に約4600人、年間に約168万人が亡くなる計算だ。そんな状況下で「葬儀ビジネス」はどう変わっていくのか? また、多死社会が終わり、縮小し始める市場で、事業者たちはどうするべきなのだろうか?
多死社会の後、葬儀ビジネスは縮小するのか?
では、多死社会を超えると葬儀ビジネスは縮小していってしまうのだろうか? 横田氏は「葬儀だけに特化している業態は危うい」と話す。
「自宅からの出棺が増えれば、葬儀屋の仕事は霊柩車の手配などに限定されます。そうなると、かなり仕事が減ってしまいます。1つに依存するのではなく、葬儀に関連するさまざまな事業に手を広げておく必要があります。
そうは言っても、例えばその時にお墓の形態がどうなっているかも分かりません。樹木葬や遺骨を海にまくなどのやり方は少しずつ増えてはいるものの、遺族が手を合わせる場所がなくなってしまうという意味で浸透しないような気もします。
葬儀を中心に据えたとき、どういったビジネスの広がりが期待できるかは今後考えていかなくてはいけないポイントです」(横田氏)
20年4月に鎌倉新書が発表した「お葬式に関する全国調査」から、一般葬の費用は約239万円、家族葬(家族や親せきなどだけで執り行う葬儀)は約137万円、一日葬(お通夜を行わずに告別式と火葬を一日で行う葬儀)は約135万円、直葬・火葬式は約80万円と葬儀規模の縮小に伴い費用も下がることが分かった。
多死社会を迎えるといいつつ、1回当たりの葬儀費用は少なくなっていることから、結果としてすでに業界規模はゆるやかに縮小している可能性も考えられる。
多死社会に向けて受け入れ体制を整えるだけでなく、ピークが去ったのちにどう市場を作っていくべきか、長期的な戦略が求められる。
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