TSUTAYAやAmazonで買えば? 「有隣堂」のYouTubeが、多くの人を”沼らせる”ワケ:えっ、そんなこと言っていいの?(2/3 ページ)
創業100年の老舗書店「有隣堂」のYouTubeが話題だ。MCのミミズクが有隣堂社員と繰り広げる本音トークに中毒者が続出。実際、10カ月で登録者数が36倍になる躍進ぶりだ。視聴者を沼らせるYouTube「有隣堂しか知らない世界」に迫ってみた。
有隣堂で売ってないモノも紹介しちゃう! 動画の狙いは?
「企業チャンネルで、こんなことまで言って大丈夫?」と視聴者が心配になるようなYouTubeを始めることになった経緯は、松信健太郎社長の鶴の一声だったという。
「松信社長が当時から話していたのは、書店は、サービスでは競争がしづらいということです。本は定価で売るので値下げができない。”どうせなら有隣堂で買おうかな”とお客さんに思ってほしいと考えられているんだとと思います」(ハヤシ氏)
つまり、チャンネルの目的は「有隣堂のファンになってもらうこと」。そのため、動画では有隣堂で売っていない商品の紹介や蔦屋書店のガラスペンフェアを紹介していることもあるのだ。有隣堂で販売しているかよりも、「この商品が好き! 詳しい!」という熱量を持った人が動画に出ることで出演者やチャンネルのファンになってもらい、有隣堂を好きになってもらう設計を心がけている。
確かに、同チャンネルは「雑誌の紐がけの世界」「夜の書店を徘徊する」などをはじめ、書店の強みを生かした他チャンネルがマネできないテーマが多い。どのようにテーマを選定しているのだろうか?
同社の経営企画本部 広報・秘書室の渡邉郁担当課長は「社内で複数アイデアを出して、ハヤシさんに提案しています。テーマのおもしろさ重視で考えて、社内で誰が熱量を持って語れるかは後から探しています」と話す。
テーマは一発OKのものから半年以上かけて内容を詰めていくものまでさまざま。1月18日に公開した「自費出版の世界」は昨年からずっと協議を重ねてきた企画の一つだ。ハヤシ氏は「実は、ずっとNGを出していたんですよ(笑) 僕自身、興味がなかったのと内容が難しくなりそうだなと。加えて、本は権利の塊なので、動画内で内容を紹介することが難しいんです」という。
しかし、内容を揉(も)んでいく中で「自費出版の表紙はインパクトの強いものが多い」という意見が出たことをきっかけに流れが変わる。YouTubeで重要なのはサムネイルとタイトルなど画の強さだ。表紙だけであれば権利関係も許容される部分が多いという判断から、「自費出版の世界」を撮影することになった。
「松信社長からは、人権侵害・反社会的・誰かが傷つく・著しく品性を欠かないようにとだけ言われています。いざ撮影が始まると、ブッコローとプロデューサーが下ネタなどで暴走するのでわたしがちゃんとしなくてはと思っています(笑)」(渡邉担当課長)
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