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「無人船」は実現するのか 横須賀で「船長なし」の小型船が出港したよ「実証実験」の結果(1/4 ページ)

横須賀市の猿島で、ちょっと気になる実証実験が行われた。小型観光船による無人運航で、世界初の試みだ。で、結果はどうだったのかというと……。

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 「面舵(おもかじ)いっぱい」――。

 船を操縦するときに使われる言葉で、船首が右に向くように舵を目いっぱい切ることを意味する。逆に、左に向くように舵を切ることを「取舵(とりかじ)」と言うわけだが、数十年後にはこうした言葉は“死語”になりそうな出来事があった。

 1月11日、横須賀市の湾港を小型観光船が「船長不在」で運航したところ、トラブルなく目的地にたどり着くことができたのだ。航空機の自動操縦は50年以上前から導入されているし、自動車も世界中で完全自動に向けて取り組んでいる。では、船の世界はどうなっているのだろうか。今回のように小型観光船による無人運航は、実は世界で初めての試みだったのだ。


小型観光船による無人運航が行われた

 このプロジェクト(MEGURI2040)は2020年2月からスタートしていて、日本財団が旗振り役として動いている。「無人で船を動かすことはできないか」といった目的を掲げ、さまざまな企業が参画。5つのコンソーシアム(複数の民間企業体)と共同で、無人船の開発に取り組んでいて、今回の実験はそのうちの1つでもあるのだ。

 さてさて、当日は、どんなことが行われていたのだろうか。小雨が降っていて、風速は3〜4メートル。条件はそれほど悪くないなかで、小型船は新三笠桟橋を出港し、目的地の猿島に向かって進んでいった(距離は1.7キロメートル)。


スロットル(レバー)が自動で動く

 実証実験の目的は、大きくわけて3つある。1つめは離岸がうまくいくかどうか。2つめは障害物をうまく認識して、それを避けることができるかどうか。3つめは着岸がうまくいくかどうかである。1つめの離岸は難なくクリアーしたが、問題は2つめの障害物である。あらかじめ漁船を用意していて、無人船がそれに気付かず進めば、トラブルが生じるかもしれないシーンを演出したのだ。

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