ジョブ型に“適する人材” 要件はどのように定義するのか?:いまさら聞けないジョブ型雇用(1/3 ページ)
わが国の雇用は、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へと移行する只中にあると考えられます。今回は、ジョブ型雇用の下で、人材育成ではどのようなことが必要になるかを考えてみたいと思います。
わが国の雇用は、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へと移行する只中にあると考えられます。今回は、ジョブ型雇用の下で、人材育成ではどのようなことが必要になるかを考えてみたいと思います。
ジョブ型とメンバーシップ型の違い
最初に、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用それぞれの特徴について確認しておきましょう。メンバーシップ型雇用とは、まず人(適材)を決め、その人を生かせるジョブ(適所)を定める「適材適所」のやり方です。
ポテンシャルがありそうな人材を新卒で迎え、専門性よりも社内スキルへの習熟を重視し、ローテーションにより適所に配置します。生涯をメンバーである社員として働いてもらうため、年功序列の賃金や相対的に高い退職金で報います。もしメンバーが従事しているジョブがなくなれば、配置転換で雇用を維持します。メンバーシップ型雇用は日本独特の仕組みであり、第二次世界大戦後から高度成長期の日本の繁栄を支えてきたといわれます。
一方、ジョブ型雇用とは、まずジョブ(適所)を決め、これに合致する人(適材)を選ぶ「適所適材」のやり方です。ジョブのポストに必要な専門性を備えている適材を配置します。特に昨今、変化が激しい時代には専門性の更新が不断に求められ、ジョブへの習熟度を高めるため自ら学ばねばなりません。報酬はジョブの価値に見合ったものとなります。そのジョブがなくなれば雇用は終了します。欧米をはじめ、世界の多くの国ではジョブ型雇用が主流となっています。
ジョブ型雇用ではジョブの明確な定義と、そのジョブに合致する人材の要件をあらかじめ明らかにしておく必要があります。これはメンバーシップ型雇用では必ずしも求められない特徴です。ジョブ型雇用では、まずジョブを定義し、そうしたジョブが遂行可能な人材の要件を定め、採用・配置・育成・評価・処遇といった人事施策を運用することになります。
ジョブが遂行可能な人材の要件は、どのように定義するのか
では、ジョブ型雇用における人材の要件は、どのように定義するのでしょうか。
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