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「東急ハンズ」はなぜ追い詰められたのか コロナ前からの“伏線”と、渋谷文化の衰退:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
東急ハンズ売却のニュースは大いに話題になった。追い詰められた背景には何があるのか。コロナ前からの“伏線”に迫る。
渋谷を訪れる人が減少
東急ハンズは、コロナ禍の前から業績が伸び悩んでいた。15〜20年3月期の年商をそれぞれ見てみると、879億円、957億円、972億円、971億円、974億円、966億円。つまり、17年以降の行き詰まりがM&Aの伏線になっている。
17年頃より、20年に開催される予定の東京オリンピックを見据えて、渋谷の再開発が本格化していた。東急ハンズは、パルコ、ロフト、109などと共に、先進的といわれた渋谷文化の象徴だった。しかし、その渋谷が破壊され再構築されようとしていた。
東急ハンズは本店にあたる渋谷店の集客が、全体に及ぼす影響が大きい。ところがその渋谷店は、渋谷の交通事情、商業事情に業績が左右される。
JR渋谷駅における乗客数の推移を1日平均で見ると、12年は41万人だったが、13年は38万人に下がった。また、14〜19年は37万人となっている。13年に東急東横線ホームが地下化したことが影響し、渋谷駅を使う人は減っていた。なお、コロナ禍の20年は22万人に激減した。
16年8月には、建て替えのため渋谷パルコがいったん閉店している。これが公園通り、宇田川町方面の人流に与えた影響は大きく、渋谷に来る観光客の人数も減っていた。
15年3月には、駅前の東急プラザ渋谷も、建て替えのためいったん閉店している。これでは渋谷店が苦しくなっても当然だ。
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