ジョブ型雇用では、どんな人材育成の仕組みが必要なのか?:いまさら聞けないジョブ型雇用(1/3 ページ)
ジョブ型雇用では、一人一人がジョブに適応する専門家として迎えられます。そのため、人材育成の内容は、専門性に応じた個別ニーズに応じたものが求められます。では、どのような仕組みが必要なのでしょうか?
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メンバーシップ型雇用では、ポテンシャルがありそうな人材を新卒で迎え、会社に染めていく人材育成が行われます。その代表例が、新卒の入社時に受ける新人研修に始まる一連の階層別研修となります。新たな職位に必要な心構え、リーダーシップの取り方、社内での仕事の進め方などが伝えられます。スキルのインプットもありますが、専門的な内容というより職位に対応する一般的なスキルであることが多くなっています。
一方、ジョブ型雇用では、一人一人がジョブに適応する専門家として迎えられます。雇用を継続していくために、各人は自身の専門性を磨き続け、そのジョブで雇用可能性(エンプロイアビリティ)を向上させていく必要があります。従って、人材育成の内容は、専門性に応じた個別ニーズに応じたものが求められます。ラーニング・ジャーニー(学びの旅)は、各人でカスタマイズする必要があるのです。
ジョブ型雇用におけるラーニング・ジャーニーをカスタマイズするための原動力となるのが、人材育成の分野で急激な発展を見せている情報技術です。ここでは、人材育成に情報技術を活用するメリットを考えてみましょう。
まず、情報技術を取り入れた学びの進化があります。コロナ禍を経てデジタル化が加速していく中、リモートワークなどによるジョブの進め方や学び方も激変しています。情報技術はこうした変化に対応し、ジョブにおける専門性を磨くためのより効果的な学習を可能にします。
オンライン会議を利用したトレーニングプログラムやEラーニングによるプログラムなど、情報技術の活用により場所や時間の制約をなくしたスピーディーな学びの仕組みが次々と提供されています。情報技術を活用すれば、研修などのOff-JTに限らず、OJTの場でもさまざまなことが可能となります。
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