それでも相手に伝わらない コミュニケーションのどこに問題があるのか:肝は「態度」(3/3 ページ)
相手が一生懸命プレゼンテーションしているのに伝わってこない、頭に入ってこないという残念な経験をすることがある。プレゼンテーションといえども、コミュニケーションなのだから双方向のはずなのに、とにかく話す。それでも伝わらないのだ。 何が問題なのだろうか。
態度にも価値がある
オーストリアの精神科医、ヴィクトール・E・フランクルによれば、人間が実現できる価値は、大きく3つに分類されるという。
まず、「創造価値」、仕事をすることや、何かを創造することによって生まれる価値のこと。通常、価値といえばこういう価値のことを言う。
それに対して次の価値は、「体験価値」。生み出す価値に対して、享受する価値と言うべきなのか、何かに夢中になることで得られる価値、自然や芸術に触れること、人とのつながりによって得られる価値のことだ。
そして、最後に、これが最も分かりにくい価値だと思うが、フランクルは最も重要だと言う「態度価値」だ。
プレゼンテーションに限らず、コミュニケーションにはさまざまな状況がある。ロジカルな問題だけではなく、さまざまな感情を持ったうえでコミュニケーションは行われる。お互いがつねに絶好調なわけではない。
態度というのは、意識、心構えと言ってもいいのだが、残念ながら、自分の意識は、他人には見えない。
だから、どれだけ気持ち、思いを持っていても、それが表情、姿勢、行動に表れない限り、相手には伝わらない。
ビジネスにおいて態度を表すには、必ず、表現として表す必要がある。「相手のことを理解しようと思う」気持ちを物理的に表わす必要がある。
確かに、私たちは、「あいつの態度が気にくわない」「素晴らしい態度だった」というように、態度に対する評価はもともとある。
しかし、これはあくまで、そう見えるという態度のことだ。
そう思っていなくても、相手は「態度が気にくわない」と感じることもある。
それぐらい「態度」は難しいということであり、だからこそフランクルは、人として身につけるべき大きな価値なのであり、「態度価値」と語っているのだろう。
プレゼンテーションするとき、相手のニーズを聞くとき、状況を理解しようとするとき、大きな力となる「態度の価値」の重要さをもっと知る必要がありそうだ。(猪口真)
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