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宇宙ベンチャーISTが直面した組織における「50人の壁」 ロケット打ち上げ2回連続成功を支えたマネジメントとは?3年でメンバーは4倍に(3/5 ページ)

ロケットの開発から打ち上げまでを一貫して自社で担い、大樹町のまちづくりにも関わるインターステラテクノロジズは22年も大きく成長しようとしている。稲川社長にISTのロケット打ち上げ成功の背後にあった「50人の壁」と、それをどんなマネジメントによって乗り越えているか、そして今後の展望を聞いた。

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スペースポートは先端技術によるまちづくり

 ISTは本社を置く北海道大樹町のまちづくりにも密接に関わっている。大樹町では21年4月に北海道スペースポート(HOSPO)の本格稼働を始めた。スペースポートはロケットの打ち上げや着陸の拠点になる場所で、本格稼働はHOSPOが国内初だ。一角にはIST専用のロケットの射場が整備されている。

 HOSPOではさらに、IST以外の企業も使える射場や、スペースプレーンの打ち上げにも対応した3000メートル級の滑走路の整備も計画している。HOSPOを運営するために北海道の企業が出資して立ち上げたSPACE COTANには、ISTからもスタッフが出向。HOSPOが日本の宇宙ビジネスの拠点になることを目指している。

 「大樹町は太平洋に面して、東側も南側も海に開けています。世界的に見ても、これほどロケットの打ち上げに適した場所は少ないです。韓国や欧州の国にはこれほど打ち上げに適した場所はありませんし、米国も西海岸で作ったロケットを東海岸で打ち上げています。北海道にそれだけのポテンシャルがあることは、まだ多くの人が分かっていないのではないでしょうか。

 私たちはHOSPOと一緒にまちづくりに取り組むことも大事だと考えています。ロケットの射場はロシアのバイコヌール宇宙基地にしても、米国のケネディ宇宙センターにしても、射場を中心にした街ができて、観光地にもなっています。先端産業と融合したまちづくりは面白いですよね。

 ただ、われわれだけではできません。多くの人が関わることで、地方創生のサイクルがまわっていけばいいなと思っています。まだ宇宙が自分と関係があると思っていない人も多いと思いますが、スペースポートは地方のスマートシティ構想であり、地方創生です。伸びる地方とそうではない地方に分かれる中で、大樹町には今後伸びる可能性があることに気付いてもらって、一緒に取り組む人がもっと増えてほしいです」


北海道スペースポート JAXA大樹航空宇宙実験場や1000メートルの滑走路

アジア初の民間にひらかれた宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」

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