新生日産が目指す道とは 電動化への“野望”を読み解く:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/4 ページ)
日産は今、再生の道を歩んでいます。日産代表取締役会長カルロス・ゴーン氏が逮捕され、日産は、すべてが変わりました。その直後のコロナ禍を経て、4か年計画「NISSAN NEXT」を発表。さらに新たな長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表しました。
コアプロダクトとは、モデル数減少と表裏一体で、競争力の低いモデル(ダットサンなど)や車齢の長いモデルを打ち切り、競争力の高いものに交替させます。集中するのは、日産の得意とする、CセグメントとDセグメント、電気自動車、スポーツカー。そして、それ以外のモデルの開発は、アライアンスのパートナーであるルノーや三菱自動車にお願いします。日本でいえば、軽自動車の開発は三菱自動車が行うことになりました。また、商品のライフサイクルも車齢4年以下に短くし、22年までに12の新型車、23年度までに8車種の電気自動車を投入すると予告しました。
実際に、その計画発表後、日産は「キックス」をはじめ、「アリア」「ローグ」「マグナイト」「ナバラ」、インフィニティ「QX55」「ノート」「フロンティア」「パスファインダー」「キャシュカイ」「エクストレイル」「ノートオーラ」、インフィニティ「QX60」「フェアレディZ」「タウンスター」と数多くの新型モデルを世界市場において発表・発売しています。なんと予告した12よりも多い新型車の数です。
ちなみに日本市場でいえば、20年6月販売開始の「キックス」は、日本市場として10年ぶりの新顔。逆にいえば、以前のゴーン体制下での日産は、それだけ長い間、日本に新型車を投入していなかったのです。
そして、最後の「コアテクノロジー」は、電動化と自動化です。23年度までに、年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指し、先進運転支援システム「プロパイロット」を世界20の市場に投入して、「プロパイロット」搭載車の販売150万台とするというのです。電動化技術というのは、電気自動車のEVだけでなく、日産のハイブリッド「e-POWER」も含んでいます。20年に登場した新型「キックス」と「ノート」が、どちらもハイブリッド専用車となり、ガソリン・エンジン車がないのは、「NISSAN NEXT」が理由だったのです。
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