「欧州向けのガソリンエンジンは今後開発しない」 日産が正式表明、日本も徐々に縮小へ:排ガス新規制対応
日産自動車は欧州向けのガソリンエンジンを新規開発しない方針を明らかにした。欧州を中心に進む、世界的な電気自動車(EV)へのシフトに対応するため、資金や人材の配分を最適化する狙いがある。日本や中国向けの開発も段階的に縮小する方針。
日産自動車は2月8日、欧州向けのガソリンエンジンを新規開発しない方針を明らかにした。欧州を中心に進む、世界的な電気自動車(EV)へのシフトに対応するため、資金や人材の配分を最適化する狙いがある。日本や中国向けの開発も段階的に縮小する方針。
欧州では2021年以降、排ガス規制が厳格になっている。欧州連合(EU)が25年以降の施行を目指している次期排ガス規制「Euro 7」に対応するため、同社は開発停止を決めた。同社のアシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)は「『Euro 7』以降は欧州向けにはこれ以上、ガソリン車のエンジンは作らない」と明言した。
EUは新規制で現行規制よりも規制対象の物質を追加する上、排ガス削減の目標が未達の場合、企業に巨額の罰金を課す見通し。EUは21年7月、ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売について35年以降、事実上禁止する方針を打ち出している。このため、新規制は、欧州での事実上のガソリンエンジン廃止を意味するとされている。
欧州で脱ガソリン車の動きが強まる一方で、欧州以外の地域では既存のガソリン車へのニーズがあることも確かだ。グプタCOOは「お客さまや市場によっては、まだまだ異なるパート(ガソリン車)を求めている方がいる。お客さま第一のため、彼らのニーズにも対応しないといけない」とした上で「ガソリンエンジンの開発を止めるわけではない。市場のお客さまやビジネスにとって理にかなっている限りは(開発を)続ける」と説明。将来的な開発体制の縮小は示唆しつつ、急激なEVシフトは否定した。
「電動化シフトは、お客さまが自然に選んだ結果でなければならない。電動化は自然に起きてほしい」(グプタCOO)
今後5年間で2兆円投資、2030年度までに電動車23車種投入
日産は21年11月、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表。同ビジョンでは、今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速させるとしたほか、30年度までに15車種のEVを含む23車種の電動車を導入し、グローバルでの電動車を50%以上とすることを目指すとした。
目標達成のため、同社は26年度までにEVとe-POWER搭載車を合わせて20車種導入し、電動車の販売比率を欧州では75%以上、日本では55%以上にまで引き上げる方針だ。
ただ、こうした目標をグプタCOOは「現時点での仮説にすぎない」と指摘。栃木県でEVを生産している事実などを引き合いに「日産にとって重要な市場である日本の皆さんがEVシフトを望めば、それに対応できる準備は整っている」と自信を見せた。
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