「飲みニケーション」は日本の“文化”なのか 海外の事情:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
海外では日本人のような「飲みニケーション」は本当にないのだろうか。書籍『超入門 データセキュリティ』の内容から、国際的に活躍できるビジネスパーソンについて考察していく。
日本人が誤解している世界の現実
書籍では、国際的に活躍できるビジネスパーソンとはどんな人なのかを説明している。海外企業や外国人とビジネスをする人たちだけでなく、ドメスティックで働くビジネスパーソンにとっても参考になるはずだ。
まず強く記憶に残ったのは、中谷氏が世界のビジネスシーンの現実について日本人が誤解しているかもしれないと指摘している箇所だ。
日本人の間ではいつからか、海外では「飲みニケーション」はなく、残業もせずにドライに仕事をしているイメージが語られてきた。いまだにそれを信じている人もいるようだが、実はこれは正しいとはいえない。
以前から「日本では飲みながらコミュニケーションを取る特異な文化があって……」などと言われてきた。その一方で、若い世代の間で「飲み会はいらない」「上司に誘われても断わる」といった声も聞かれる。
事実、2021年11月に日本生命保険が発表した飲みニケーションに関する調査で、飲みニケーションは「不要」(「不要」もしくは「どちらかと言えば不要」)と答えた人が61.9%だった。
同調査は17年から始めていて、21年に初めて「必要」よりも「不要」が上回った。コロナ禍で飲みニケーションの機会が減ったこともあって、「それでも何も支障はない」という感覚になっている人が増えたのではないかとも推測できる。
興味深いのは内訳だ。「職業別では、『必要』『どちらかといえば必要』と回答したのは『公務員』が51.8%と最も多く、次いで『経営者・役員』が49.1%、『民間企業や団体の正社員・正職員』が41.1%となった」という。
調整や意思決定などが必要になる職場は、飲みニケーションの必要性をより感じているのかもしれない。
中谷氏の書籍によると、インターポールのような国際機関でも、飲みながらのコミュニケーションなどは非常に重要なものとなっているという。
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