「飲みニケーション」は日本の“文化”なのか 海外の事情:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
海外では日本人のような「飲みニケーション」は本当にないのだろうか。書籍『超入門 データセキュリティ』の内容から、国際的に活躍できるビジネスパーソンについて考察していく。
インターポールの「飲みニケーション」事情
ここで簡単にインターポールについて説明しておこう。インターポールとは、日本ではマンガ『ルパン三世』の銭形警部のイメージが強いが、職員には実は逮捕権はなく、銭形警部のような捜査はできない。国境を超えた犯罪の捜査に協力したり、国家同士の捜査協力の仲介などを行ったりしている。
インターポールは194の国と地域が加盟しており、犯罪に関連する情報やデータベースを提供している。現在、109カ国から集められた捜査官や警察関係者が働いている。かなり多国籍な国際機関だ。
そんなインターポールでは、勤務時間外が重要なカギになるとして、書籍ではこう紹介されている。「インターポールでは、ランチやコーヒーブレイクが長い。それは、そこで実際の政策などを進めるためのさまざまな調整をやっているからなのだ。決して、ぼーっと休憩をしているわけではないのである」
また「週末のホームパーティやゴルフ、仕事終わりにバーに寄ったりして、方向性を調整したり、すり合わせをやる。日常的にそういうことが行われているのである」という。つまり、食事やお酒の席で、仕事の話をしている。さらに、次のような実態に触れている。
「普段オフィスで行われるような会議以外の場所で重要な事項が決まることが少なくないのだ。仲間内(インナー・グループ)で食事会やホームパーティなどを行い、そういう場でフランクに意見交換したり、雑談をすることによって、物事の方向性が決まっていくこともある。普段からコミュニケーションを積極的にとって、その仲間内に入っていないと、意思決定のプロセスにおいて影響力が行使できなくなるということである」
担当部門などそれぞれで行われる正式な会議は、「すでにインナー・グループでの議論で決まったことを議事録に載せるためのプロセスのようなもの」だとし、「物事を自分に有利なように決めたり、日本が利害に沿った主張を押し通すには、事前にいろいろな人のところを回って根回しをしていないといけない」という。日本よりも周到なコミュニケーションが必要で、根回しを行う意味でも「飲みニケーション」は欠かせないようだ。
つまり、普段からコミュニケーションを積極的にとって、その仲間内に入っていないと、意思決定のプロセスにおいて影響力が行使できなくなる可能性があるのだ。
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