人気レジャー施設が「現地払いのWeb予約」をやめただけで、売り上げ2.5倍以上に──なぜ?:PANZA宮沢湖(3/3 ページ)
「ファンモック」という空中アスレチックが楽しめるPANZA宮沢湖では、予約システムを見直し「現地払いのWeb予約」をやめたことで、月商が平均して2.5倍以上になった。なぜそれほどの効果があったのか? 話を聞いた。
データが見せた真実 「いいね」は集客にならなかった
実は、太田さんの前々職はシステムエンジニア。予約システムの見直しが必要だと考えたのもその影響だ。さらに、データ分析の重要性を知っており、「予約システムを導入するならマーケティング活動に生かせるものを」と考え、システムを選定した。
ウラカタでは、予約時に簡単なアンケートを設定できる。太田さんは、性別、年代、誰と来たか(行く予定か)などのほかに、何回目か、何を見て予約に至ったかといった質問を予約フォームに組み込み、データを蓄積している。
データを見ると、これまで気が付かなかった事実が明らかになる。例えば、広告について。太田さんは「これまで広告費をかけていた某SNS経由ではなく、Google検索経由で予約に至った人が多いことに驚きました」と振り返る。
「SNSでは、写真映えから多くの『いいね』をいただいていたんです。それで費用をかけていましたが、実際は集客に結び付いていなかったことにアンケート結果から気付けました」
太田さんは、他の同様の施設についても、「マーケティングにつなげられるデータの取れる予約システムを導入したほうがいいでしょう。いや、必須といえるかもしれません」とデータ活用の重要性を話す。
「自社で予約システムを作ろうとする企業もあるかと思いますし、私たちも天秤にかけました。ただ、お金をかけて作ったものでも数年後には陳腐化するし、メンテナンスコストもかかります。クレジットカード手数料もシステム費と別に払わなければいけません。今利用しているウラカタは、クレジットカード手数料も含めて、売り上げの5%しか費用がかかりません。さらにマーケティングデータも取れます。他社がどういうマーケティングをしているのか詳しくは分かりませんが、これから業界全体でもっとこのように(効率的な)デジタル化をしていけばいいのではないかなと、勝手ながら思います」
今のところ、導入した予約システムのおかげで「オペレーション周りはこれ以上できない、というほどに改善されている」という太田さん。とはいえ、マーケティング活動ではさらなる改善を図っていきたいと考えている。取材の最後に今後の展望を聞くと、次のように話してくれた。
「感覚的なマーケティング活動では売り上げに結び付かないことが分かったので、2年くらいをめどにたまったデータを注視し、広告の出し方、誘致の方法を考え直したいです。どの地域のどの年齢層にアプローチすればいいのかを、データから分析し、知見として残していければと考えています」
レジャー業界にもDXの波は押し寄せているのだ。
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