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モバイル事業でさらに赤字拡大の楽天、収益改善のタイミングはいつか?:新連載 房野麻子の「モバイルチェック」(3/4 ページ)
携帯電話事業はエリア構築のため先行投資が必要で、事業開始当初、コストがかさんで赤字が続くのは仕方がない。しかし、そろそろ黒字化の見通しも知りたいところだ。三木谷浩史社長や楽天モバイルの山田善久社長は「22年第1四半期を収益のボトムに、22年第2四半期以降は収益の改善を見込む」とした。
楽天モバイルの仮想化プラットフォームの外販
今後の収益の拡大に大きく貢献するかもしれないのが、楽天モバイルの完全仮想化プラットフォーム「Rakuten Communications Platform(RCP)」をグローバルに販売する事業組織「楽天シンフォニー」だ。ドイツの通信事業者1&1がRCPを包括採用。また、米国の衛星放送事業者DISHが5Gネットワーク運用を支援するソリューションを採用しており、この楽天シンフォニーの売り上げが、モバイルセグメントの第4四半期の売上収益改善に寄与した。
楽天シンフォニーは日本の事業組織だが、売っているソフトウェアの売り先はほぼ海外だ。潜在顧客は130社を超えるとし、案件は「数千億円単位で立ち上がってくる」(三木谷氏)と語った。
ただ、楽天シンフォニーが販売するシステムの評価は、日本の楽天モバイルの成功が裏付けとなる。システムの外販を成功させるためにも、楽天モバイルは、つながりやすく障害が出にくいネットワークを構築し、自社回線エリアを拡大してユーザーを増やし、日本におけるモバイル事業を必ず成功させなくてはならない。
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