日本も「電波オークション方式」を導入? 4キャリアの入り乱れる思惑:房野麻子の「モバイルチェック」(3/3 ページ)
携帯電話サービスにとって、電波、つまり周波数の割り当ては非常に重要な問題だ。海外で普及している電波オークションについて、各社のスタンスはさまざまだ。ただ、1次とりまとめの骨子(案)を見る限り、電波オークションは導入される可能性が高い。
ソフトバンクは、現状の比較審査方式が、すでにオークション方式の類型と見なせるとしている。ただ、特定基地局開設料が諸外国より高額だと指摘。特定基地局開設料によって、設備投資に回す金額が少なくなることを懸念するが「基本的には、現行の比較審査方式を支持」している。
楽天モバイルは完全に反対の立場だ。資金力の大きい事業者に周波数が集中し、携帯電話市場が再び寡占化される、 小規模ないし後発事業者が不利になり、公正競争が後退することを懸念している。また、事業者の負担が増加することで投資の回収期間が長期化し、技術革新があっても「周波数帯域の改編が困難」になると指摘する。プラチナバンドの再編・割当を希望する楽天の思いがにじんでいるといえよう。
楽天モバイルは、フランス、英国のオークション方式で採用されている後発事業者への優遇事例を紹介したが、オークション方式の導入には反対している(「新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会」第3回検討会の楽天モバイル提出資料より)
各社のスタンスはさまざまだ。ただ、1次とりまとめの骨子(案)を見る限り、オークション方式のデメリットに対する対応策が逐一提示されており、導入へのネガティブ要素は必ずしも多くないことから、電波オークションは導入される可能性が高い印象を持った。今後の検討会では、3月中に今回の案を元に1次とりまとめが行われる予定で、割当方式の見直しに向けた検討課題が整理される。4月以降、携帯電話事業者へのヒアリングが再び行われ、パブリックコメントの募集を経て、7月に2次とりまとめが行われる予定だ。
筆者プロフィール:房野麻子
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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