「なくす」と「変える」で考えてみる 総務から会社組織が生まれ変わるカギ:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
総務領域に詳しい豊田健一氏の連載。今回は、働き方の変化に伴う、総務の管理手法の変化を扱う。これまでの集中管理から分散管理へ移行するに伴い求められるのが自走組織への変化だが、その中で総務が意識すべきたった一つのポイントとは。
まずは自己完結から考えてみる。この点に取り組む総務は、既に数多く存在する。総務の仕事の大半は、社内からの問い合わせや依頼事項への対応だ。これについて、総務が関与せずに、問い合わせをした本人が対処できるようにしている例は少なくない。例えば、問い合わせに対するFAQや、チャットbotで対応している。過去のメールのやりとりを読み込ませると、自動的にbotが質問と回答を作成してしまうような例もある。こうした技術を活用すれば、総務に問い合わせることなく、自己完結できる環境を構築できるのだ。
次に、自己防衛はどうか。
在宅勤務により、各人が各人を火災や地震、水害から守らなければならない。今までも、深夜や早朝、休日などの終業時間外において、出社しておらず、自宅で残務処理などに当たることもあり、自らを、そして家族を守らなければならないタイミングはあった。しかし、在宅勤務となると、日中の就業時間内においても自宅、あるいは、社内以外の場所にいることになり、災害に出会う確率は高まっているといえる。
自宅での被災といっても就業時間中のため、会社としても従業員の安全確保に責任がある。何もしないわけにはいかないが、それぞれの家庭環境の違いにより、画一的に対処するわけにいかない。プライベートとの線引きも難しいとなると、とるべき手段は自己防衛にならざるを得ない。
総務として、社員が自己防衛できる環境を構築するにはどうすればいいか。筆者は、基本に忠実に、さまざまなリスクに対する啓発と教育が重要だと考えている。そこでの課題は、いかに自分事化してもらうか、である。
あくまで自己防衛であるので、不測の事態へ社員が実際に対策をしたかどうか、総務は直接的に確認できない。チェックリストなどを用意し間接的な確認はできるが、、それも実態の確認ではない。あくまで各人が危機感を持ち、自分事として考え、対処してもらうことしかできないので、総務はそのサポートに徹するしかないのだ。そのためには身近な事例を挙げ、具体的な、そして誰でもができる方法を指し示し、上手に対処しているメンバーを社内イントラで取り上げるなど、「多くのメンバーが危機感を持って動いているのだ」という認識を広げることである。
総務の自走組織とは
ここまで解説したポイントを押さえ、自己完結・自己防衛を実現すべき自走組織は、何も現場だけにとどまらない。つまり総務こそ自走組織を目指すべきである。では、総務の自走組織とは、どのようなイメージなのだろうか?
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