ロードスター990S 7年越しの回答:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/7 ページ)
マツダのアイコンともいえるロードスター。マツダにとってはもちろんのこと、世界中のファンにとっても特別なクルマだ。2015年にデビューしたそのNDロードスターが大きく進化した。すでに評判はお聞き及びのことと思う。もはやちょっとしたお祭り騒ぎと言っても良い高評価である。一体何がどう変わったのか?
2つのマーケット
という構造の中で、開発チームは4代目となるNDの開発に当たり、「これ以上のハイパワー・ハイスピード志向を止める」決断を下した。その目指す先を初代のNAロードスターへの回帰に定め、日英両国で愛されるその軽量スポーツの基本を主軸として順守しつつ、米国とドイツの高速化ニーズに可能な限り応える方針を取った。
幸いにも、コンピューター解析技術や素材技術が進んだことで、衝突安全をクリアしながら重量を大幅に削減することができた。その結果、重量増加のカバーのために増やした排気量を、軽量化した分削ることができた。パワーウェイトレシオを軸にして、軽くした分に合わせたエンジンスペックを設定した。
新型は当然のごとく旧型より良くなっていなければならない。マーケットは当然そう期待する。求められる性能向上は、これまでのようにパワーアップと構造強化ではなく、小さく軽く作ることで図って行くことになったのである。
7年前、開発エンジニアにしつこく食い下がって、彼らの本音を聞き出した。リアスタビライザーの無い「S」こそが、原点回帰コンセプトに最も忠実なモデルだと、彼らは思っていた。しかしながら世界的ヒットモデルであるロードスターは、すでに書いたように、米国やドイツの高速ステージ市場ニーズにも応えなければならない。ビジネス上、それを無視するわけにはどうしてもいかない。なにしろロードスターの最大マーケットは米国である。
そこでグレード別にサスペンションセッティングを作り分けることになった。言わば足し算グレードの設定である。NDロードスターがデビューした当時、グレードは5つあった。まずは「S」。そしてリヤスタビライザーを装備した「Sスペシャルパッケージ」と「Sレザーパッケージ」。これにビルシュタインのダンパーと大径化されたブレンボ製ブレーキを装備した「RS」。さらに競技車両ベースとなる「NR-A」である。NR-Aは特殊な例外として扱うにしても、他に4つのグレードがあり、サスセッティング的には3種類となっている。
実は「S」にはセンタートンネル開口部の補強プレートもリヤスタビライザーも装備されない。口さがない人たちは、必要な部品を減らしてまで、カタログ上の1トン切りにこだわったのかと邪推したのだが、もちろんエンジニアの本意はそこにはない。あくまでも、速度レンジ別の作り分けである。本当はタイヤのグリップレベルもそれぞれのマーケットに応じて変えたかったが、コスト的にそれはかなわない。当然高いグリップを求める側に合わせるしかなかった。
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