コロナ禍でも店舗数が約3倍! 「焼肉ライク」の“強運”とライバル不在のビジネスモデル:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
焼き肉のファストフードという新ジャンルを開拓した、「焼肉ライク」がコロナ禍でも店舗数を約3倍に増やしている。意図せずしてコロナ禍のニーズにマッチした業態となったことが追い風となった。なぜ独走状態なのか。
独自企画を連発
このような基本フォーマットの上に、焼肉ライクでは他の焼き肉チェーンではやらないような企画を連発している。
3月22〜28日に実施する、「焼肉セット」を頼んだら「ごはん・キムチ・スープが無限にお代わり」という企画は思い切った内容で、話題性は十分。焼肉ライクを普段使わない人も数多く訪れるだろう。
ごはんは岩手産「ひとめぼれ」の新米だけを使用(新潟県のみ「コシヒカリ」)。炊き立てを常に提供できるように、少量ずつ炊飯している。焼き肉に合うように若干硬めに炊いているので、タレを付けた肉と合わせて食べてもごはんの食感を損なわないという。
同社では、20年10月に「メガ盛りセット」を値段そのままで、「ごはん・キムチ・スープ」がお代わり無限になるという企画を期間限定で実施したが、好評につき11月まで期間を延長した。
21年2月には、特別メニューとして、厚切りの塩ガリバタハラミとバラハラミとイベリコ豚をセットにした「メガハラパウンダーセット」を発売して、「ごはん・キムチ・スープ」の無限お代わりを実施している。
今回は無限お代わりを、全「焼肉セット」メニューに拡大。以前の成功体験をもとに、まん防明けのリベンジ消費を見込んで大々的に投入した。
焼き肉でお酒を飲みたい人向けの「ワンベロ・ツーベロ専用シート」もユニークな企画。
21年11月、都内にある恵比寿本店に導入したところ、予約が殺到する人気となった。22年3月1日から26店に拡張している。専用シートには、自分でお酒が注げる、ハイボールとレモンサワーのタワーが設置してあり、コックを捻ると好きなだけ飲めるようにした。2種類飲み放題で60分、1人550円、2人1000円となっていて、コストパフォーマンスが抜群だ。
また、専用シート限定で特別メニューの「わんこホルモン(ホルモン・キムチ食べ放題)」(1人980円)が注文できるのも顧客に支持されそうだ。
「ワンベロ・ツーベロ専用シート」は予約必須で、専用サイトまたは店舗LINE公式アカウントから予約可能とした。店によっては、ワンベロかツーベロ、どちらかしかないケースもある。
焼肉ライクの取り組みで忘れてはいけないのが、焼き肉業界初の代替肉メニュー導入だ。
20年12月より、都内にある渋谷宇田川町店などにて提供していた代替肉メニューを全店に拡大。
代替肉に関して興味を持っていながら、実際には食べたことがなかった人も、焼肉ライクならばいつでも食べられる。肉が食べられなくて焼き肉屋に行けなかった人も、食事ができるので重宝がられている。
この焼き肉用フェイクミートは、ネクストミーツ(東京都新宿区)が開発。大豆を原料としたプラントベース食品で、添加物を使わずに、本物の肉にそっくりな食感や味わいを目指している。一般的な焼き肉と比較して、脂質が半分以下なのに対してタンパク質は約2倍で、アスリート食にも適する。
同社では「未来の焼き肉を考えた時に、1カテゴリーとして代替肉が入ってきてもおかしくない」と導入に踏み切った。
22年1月からは、食感、味付けをより肉に近づけ、サイズも大きくした、従来品の「NEXTカルビ」の進化形「NEXT大判カルビ2.0」が発売されている。価格は50グラムで320円。
その他にも、緊急事態やまん防期間中を中心に朝食「朝焼肉」を実施したり、神戸牛を期間限定で1皿50グラム・550円と破格の値段にて提供したりしている。さらに、学生証を見せると特定のメニューが割引になる「学割ライク」(一部店舗で実施)、毎月29日限定の和牛カルビ半額などと、機動的に数々のユニークな企画を実施している。
こういった数々の取り組みによって、進んだ焼き肉チェーンのイメージが形成され、好調な集客につながっている。
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元「雨上がり決死隊」で、現在はユーチューバーの宮迫博之氏が高級焼き肉店「牛宮城」をオープンした。経営の支援をしているのは、ハンバーガー店などを経営する“実力者”。高級焼き肉店のビジネスモデルを分析する。
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