欧米では「脱マスク」が進んでいるのに、なぜ日本は「マスクビジネス」が大盛況なのか:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
テレビを見ていると、欧米でマスクを着用している人は少ない。いや、ほとんどいないといった感じなのに、なぜ日本では多くの人が着用しているのか。その背景には、マスクビジネスが大きく関係しているようで……。
「医療従事者」の存在
では、マスク産業の成長を維持するためには、どんな「施策」かというと一番効果的なのはマーケティングである。世の中に「マスク不要」の声が上がってきたら、「日本にはまだまだマスクは必要ですよ」というカウンターを仕掛けていくのだ。
「必要だ、必要だと騒いでもさすがにコロナが落ち着いてきたらさすがに無理でしょ」と思うかもしれないが、筆者は、かなり有効な施策だと思っている。「医療従事者」という強い味方がいるからだ。
ご存じのように今、日本で最も信頼されているのは、政治家でもなければワイドショーコメンテーターでもなければ、ましてや立派なジャーナリストなどではない。コロナ医療に携わっていて、最新の医学情報に触れている「医療従事者」である。
それが大袈裟な話ではないことは、飲食店の時短営業、ワクチン接種、そして少し前だがタバコの「屋内全面禁煙」などを見れば明らかだ。これらの施策に関しては、不利益を被る人もたくさんいたことで反対意見も多く唱えられたが、最終的には「お医者様がそうおっしゃるのなら」ということで推し進められた。今の日本では、医療従事者や医療の専門家が推奨することは反対意見をねじ伏せて、「新しい常識」として社会に受け入れさせることができるということだ。
さて、そこで「マスク」を考えていただきたい。中には、「マスクなんて意味ねえよ」とダイナミックな意見を言う人もいるが、医療従事者や医療の専門家の多くは、「しないよりもしたほうがいいです。不織布マスクをしっかりと鼻までつけましょう」というスタンスである。
マスク産業側としては、こんな心強い味方を活用しないわけがない。
もし筆者がマスクビジネスでメシを食っている側の人間だったら、マスクの有効性や、マスクによってどれだけ救われた命があるのかというような研究をしている医療関係者や大学教授にアプローチして、信頼関係を築いてその人を積極的にマスコミに売り込んでいく。コロナに関係なく、平時からマスクをつける必要性を日本社会に啓発していく「マスク大使」として、業界の発展に協力していただくのである。
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