「外泊すると家賃が下がる」物件は定着するのか 都市部で広がる“つぎの住処”:週末に「へえ」な話(4/4 ページ)
「外泊すると家賃が下がる」物件が注目を集めている。東急が2021年5月に受付たところ、問い合わせが次々に。いまも空室待ちが続いているそうだが、なぜ人気を集めているのか。担当者に話を聞いたところ……。
ついの住処ではなく、つぎの住処
さて、最後にビジネスの話をひとつ。「リレントに住みたい」人は絶えないようだが、「リレントに泊まりたい」人はどうなのだろうか。宿泊者がいない場合でも、外泊数に応じて家賃が減額される(月15日まで)。ということは、「泊まりたい」人が少なければ少ないほど、東急はダメージを受けることになる。
コロナ前のように、海外からの観光客は戻っていない。宿泊施設の稼働率を見ても、まだまだである。感染の状況によっては、人流が抑制されることも考えられるので、「リスクがあるのではないか」と思ってしまう。
こうした問題について、東急はどのように考えているのだろうか。「外部環境は『最高の状況』とは言えませんが、いまのところ事業を継続できるレベルで利用していただいています」(小池さん)とのこと。ホテルよりも部屋が広かったり、キッチンが付いていたり、長期で泊まることができたり、こうした点が評価されて「泊まりたい」人はいるようである。
話をまとめると、このビジネスをうまく回すには「住宅と宿泊」両方を追いかけなければいけない。2つのリスクを抱えていることになるが、見方を変えれば、リスクを2つに分散しているともいえる。第一弾の渋谷が好調だったことを受け、3月には押上でもスタート。このほかにも首都圏を中心にリレントを増やしていくそうだが、いまのところこの物件と相性がいいところを模索しているという。
単身赴任なので週末は自宅で、通勤時間がもったいないので平日は都市部で、週末は出張が入っているので部屋を貸して――。こうした人たちが増えると、いまの家に住み続ける「ついの住処(すみか)」という言葉が使われなくなって、「つぎの住処はどこにする?」という声が飛び交うかもしれない。
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