「ふらのワイン」の販売不振をどう解決する? 北大博士課程の学生が奮闘:DX教育プログラム(3/4 ページ)
4年連続で赤字になる見通しで、なんとか売り上げを伸ばしていきたい「ふらのワイン」。販売不振に北大の博士課程の学生が奮闘した。彼らはリピーターの購入商品に着目し、ある提案をしたのだが……。
ごみ分別に関する「だめシール」を減らしたい
DX教育プログラムで取り組まれたもう一つのテーマが、ゴミのリサイクルである。
富良野市はごみのリサイクル率が9割以上(同市資料より)と、全国でも高い水準になっている。それを可能にしているのが、01年から取り組む14種類ものごみの分別と、厳しいチェック体制によるものだろう。例えば、住民がごみの分別を間違えると、袋に「不適物警告シール(通称:だめシール)」を貼られる。これによって住民の意識や責任感を高めている。
ただし、シールを貼られたごみ袋を、捨てた本人が持ち帰り、分別して再びゴミステーションに出すことは少なく、結果的に放置されたままのごみ袋を業者が回収せざるを得ない状況になっている。そこで学生たちは、住民の行動変容を促すなどして、だめシールの数を減らすことはできないかと考えた。
市役所から提供された過去3年分のデータの分析を進める中で、彼らが興味を持ったのは、時期やエリアによってだめシールにばらつきがあるということである。時期に関しては、4月が最も多かったが、これは転入者が増えるからだと容易に想像できた。一方で、エリアについては不明瞭だったため、現地を訪れたところ、突出している場所は、主に新興住宅地やリゾート地だった。「新しい住民や、年に数回だけ来る別荘のオーナーなどにはごみの捨て方が周知されていないのではないか」と学生たちは考えた。
そうした取り組みを踏まえ、スマホアプリやSNSを通じた住民への情報発信強化を提案する。例えば、ごみステーションごとに日々の回収状況を通知したり、クイズやゲームによってごみの分別に対する学習機会を提供したりしたいと考える。
プレゼンテーションを受けて、富良野市環境課の高橋秀文課長はこう感想を述べた。
「皆さんの話を聞いていて気付いた点は、どういう理由でごみを置いていったのかというデータの蓄積、収集ができていないこと。これがその後の住民への情報提供にうまくつながっていないのではと感じました。また、私も昔はよく住民説明をしていましたが、実は若い人は単純にルールを知らないというのが多かった。アプリを使って若い人に周知できれば、転入時期である4月のだめシール削減などに結び付くのではないか」
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