累計270万個を突破! 消しカスを集める「マ磁ケシ」の開発秘話を聞いた:週末に「へえ」な話(3/3 ページ)
消しゴムのカスを磁石で集めることができる「マ磁ケシ」が売れている。2021年10月に販売したところ、ネット上で話題になって、「文房具屋さん大賞」の機能賞も受賞した。それにしても、ちょっと変わったこの消しゴムは、どのようにして開発したのだろうか。
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初代の磁ケシでカスを集めるたびに、ゴミ箱に持っていくのは面倒――。進化版でその課題を解決したわけだが、実はユーザーから不満の声がもうひとつ出ていた。価格である。消しゴムの多くは100円を切る価格で販売されているので、磁ケシは3倍ほどになる。小学生が購入するには「ちょっと高いよ」といった声が出ていて、この問題をなんとかしなければいけなかった。
このような話をしていると、「ちょ、ちょっと待てよ。進化版の『マ磁ケシ』の価格は550円じゃないか。小麦粉やら調味料やら電車の値上げに便乗したのでは」と突っ込みたくなる気持ちはよーく分かる。このことをクツワの担当者に聞いたところ、「ご指摘のとおり、磁ケシに比べて価格は上がりました。ただ、替え消しゴムを165円で販売していまして、消しゴムが消耗してきたら、それと交換していただければ」とのこと。つまり、長ーーーく使えば、トータルで価格を抑えることができますよという話である。
初代の消しゴムを開発する際、社内からはこんな声があったという。「本当にこれ売れるの?」と。これまでになかった商品だったので、疑問を感じる人が出てきたのも仕方がない。開発に携わった杉原麻岐さんに聞いたところ「社内でも意見が割れていました。『これ売れるよ』という人もいれば、『難しいのでは』という人も。個人的に『売れる確率は50%ほどかな』と思っていたのですが、とりあえず販売してみようといった形でスタートしました」と振り返る。
その後、想定を上回る形で売れていって、今回の進化版が登場した。となると、気になるのは次である。杉原さんに聞いたところ「すでに検討を始めている」とのことだが、具体的なことはまだ決まっていないという。
「磁ケシ」のネーミングは「字消し」のダジャレで、その後、おじさん柄の「お磁ケシ」が登場し、今回の「マ磁ケシ」である。次はどのような商品名で、われわれをワクワクさせるのか。開発チームは、“磁わ磁わ”つくっているのだろう。
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