インタビュー
“値上げの春”に逆張り ワタミが「焼肉の和民」で仕掛けた「薄利多売」戦略:下げた客単価を客数でカバー(4/4 ページ)
外食チェーンのワタミは3月、「焼肉の和民」の商品価格を全商品429円以下での販売を始めた。同社は値下げをすることで客足を増やし、“薄利多売”の戦略を取ることによって売り上げの拡大を狙おうとしている。
継続して「行きたい」と思わせられるか
今春は食料品のみならず、日用品などの価格が軒並み上昇した「値上げの春」だ。
渡邉会長兼社長は「何もせず座して死を迎えるわけにはいかない」ということで値下げを決断した。通常の店とは逆を行く政策は消費者にとって魅力だろう。
あとはワタミが予想したように、客足が伸びるかどうかにかかっている。429円以下にしただけでは客足の増加も一過性に終わる可能性がある。また、新型コロナウイルスは収束していないだけに、外出をためらう人も依然として多い。
リクルートによる「外食の現状や消費者心理調査」では、「当分は様子を見て外食を控える」と答えた人は32.5%だった。
ただ実際、まん延防止措置が解除されて客足は「20〜30%上がった」とも、渡邉会長兼社長は話している。これからどれだけ客足が回復するのか未知数なだけに、継続して焼肉の和民に行こうと思わせるような仕掛けを続けられるかが、経営のカギとなりそうだ。
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