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ポストコロナ時代の株主総会 バーチャル株主総会はなぜ問題か?:フィデリティ・グローバル・ビュー(1/3 ページ)
新型コロナの発生以降、多くの企業はバーチャル株主総会の開催に移行しました。しかし、こうした流れは、コーポレート・ガバナンスにおいてマイナスとなり、投資家に不利益をもたらす可能性があります。
この2年の間、世界中の何百万人もの株主は会議室や巨大な講堂でなく、自宅にあるちらつくコンピューターの画面を通じて、年次の株主総会に出席してきました。多くの国や地域が新型コロナウイルスによるロックダウンから脱したいま、投資家や企業の関心事は、コーポレート・ガバナンスにマイナスの影響を与えうるバーチャル(オンライン)での株主総会の開催が新しいスタンダードになるのか、ということです。
急速に広がるバーチャル株主総会
世論調査によると、一般的に株主はバーチャル株主総会に好意的な見方を持っています。この形式を利用すれば、危機のさなかにあっても企業は継続的に株主総会を開催できます。企業にとっては二酸化炭素の排出量削減につながるほか、遠方に住む投資家にも出席してもらいやすくなります。
バーチャル開催に必要なテクノロジーもますます使いやすくなり、特にビデオ会議システムが効果的なコミュニケーションにつながっています。こうしたテクノロジーの普及とともに、対面での株主総会の廃止はここ10年の間に少しずつ進み、新型コロナによって急拡大しました。
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