個人経営の企業、8割が後継者おらず それでも課題意識は10%と低迷
組織・人事コンサルティングファームのセレクションアンドバリエーションは、総務省が個人経営の企業4万社を対象に行った「2021年個人企業経済調査」の分析結果を発表。町工場や八百屋といった個人経営の商店の8割が後継者不在の問題に直面していながら、最重要課題だと意識しているのは10%前後と低調であることが分かった。
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組織・人事コンサルティングファームのセレクションアンドバリエーション(東京都港区)は、総務省が個人経営の企業4万社を対象に行った「2021年個人企業経済調査」の分析結果を発表した。町工場や八百屋といった個人経営の商店の8割が後継者不在の問題に直面していることが判明。一方で、後継者不足を最重要課題と捉える経営者は10%前後と低調であることも分かった。
個人企業調査の対象は「町工場や八百屋、そば屋、クリーニング店など暮らしに密着した個人経営の商店など」となっている。
まず、経営者の年齢構成を見てみると、50歳未満の経営者は11.7%だが、70歳以上の経営者は46.0%を占め、経営者の高齢化が著しい結果となっている。70歳以上の経営者の割合はこの2年間で6.4%増加。60〜69歳の比率も高いことから、今後も経営者の高齢化が進むとみられる。
さらに、後継者が不在の個人経営の商店は8割を超えていることも分かった。特定の産業ではなく、全産業に共通した課題であることがうかがえる。
また、経営上の課題について見てみると、19年から21年にかけて増加している最重要課題は「需要の停滞(売上の停滞、減少)」で、30%超の企業が直面していることが分かる。一方で、8割の企業が直面する後継者の不在問題については、課題感が10%前後と、大きな課題として捉えられていないことが分かった。
同社は「経営者は後継者不在の状況においても、まずは需要の停滞を経営課題であると認識しており、短期的な課題にだけ対応してきたことの帰結である可能性も否めない」と指摘。その上で「後継者問題などの中長期課題を意識する企業が今後、選別されていく可能性が高い」としている。
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