「住みたい街」常連の恵比寿が転落! 2位の吉祥寺は今後“ジリ貧”? 専門家が指摘する“なるほど”な理由:大宮が3位に躍進(4/4 ページ)
リクルートが3月に発表した「住みたい街ランキング2022(首都圏版)」。ここ10年近くは横浜、吉祥寺、恵比寿がトップ3を独占していたが、今回の調査では大宮が3位にランクイン。恵比寿が4位に転落したことが話題になった。なぜ、恵比寿は4位に甘んじることになったのか。リクルートSUUMO編集長の池本洋一氏は2つの理由があると指摘する。
再開発次第でランキング結果に影響も
これまで代表的な新陳代謝の手段は大規模再開発だった。特に住宅が絡む大規模再開発はその街の人気を一気に押し上げる効果があった。分かりやすいのは武蔵小杉。再開発が始まると同時にランキングが上昇、現在は一段落というところ。計画的に開発されてきた横浜市のみなとみらいも、開発がある時期かどうかによってランキングの順位が上下してきた。
だが、再開発が一巡し、SDGsが重視されるこれからの時代にあって、新陳代謝は必ずしも再開発である必要はない。今回注目を集めた大宮や流山、船橋などでは再開発と同時に地元での街づくりも地道に続けられてきた。
これらの街では、街路の見直しなどで、歩行者の利便性向上を図っている。また、住んでいる人主体のイベントが開催されており、そこから新たな人間関係が生まれ、街のソフト面の充実につながっている。そしてそれらが街の魅力として評価されるようになってきている。
「以前に比べると街を取り上げるテレビ番組が増え、コロナ禍で地域に関心を寄せる人も増えています。その中でハードだけでなく、ソフトにも特徴のある街がより選ばれるようになってくるのではないかという期待があります」
“3強時代”の終息は新たな街選びの時代の始まりでもあるということだろうか。今、人気の街がこれからも人気とは限らないのである。
著者プロフィール
中川寛子(なかがわ ひろこ/東京情報堂代表)
住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。路線価図で街歩き主宰。
40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくりその他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
主な著書に「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版社)など。宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。
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