コラム
“男性も育休を取得しやすい職場”の作り方 法改正の整理から研修のポイントまで:何から始めればいい?(1/4 ページ)
出産・育児などによる労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに育児などを両立できるようにするため、2020年6月に育児・介護休業法が改正されました。
現在、育休を取得する男性は増えているとはいえ、女性に比べれば圧倒的に少数で、期間も短いもの。そこで、男性が育休を長期間、取得できる環境を整備するにはどうすればよいか考えます。
法改正に向けて準備すべきこととは
出産・育児などによる労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに育児などを両立できるようにするため、2020年6月に育児・介護休業法が改正されました。
主な改正の内容は、次の通りです。
- (1)育児休業を取得しやすい雇用環境整備
- (2)妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
- (3)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
- (4)男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(出生時育児休業[通称:産後パパ育休])
- (5)育児休業の分割取得
- (6)育児休業の取得の状況の公表の義務付け
今回の改正は、内容に応じて3段階で施行されます(図表1)。
(1)〜(3)は22年4月1日から、(4)(5)は22年10月1日から、(6)は2023年4月1日から施行されます。
今回の改正は内容に応じて施行時期が異なりますが、法改正の内容を一連の流れとして捉え、自社での実施方法の検討や準備を進めていくことが必要です。
(1)(2)および(4)(5)については全ての企業が対象であり、加えて、有期雇用労働者を雇用している企業は(3)への対応が、従業員数1000人超の企業は(6)への対応が必要になります。
また、(4)(5)の改正を踏まえて、雇用保険法が改正されます。
ことし10月からの育児休業給付制度では、(4)子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる産後パパ育休制度が創設されることから、産後パパ育休を取得した場合に出生時育児休業給付金が受給できます。
また、(5)育児休業の分割が可能となることから、1歳未満の子について育児休業を2回まで分割した場合、育児休業給付金が受給できるようになります。
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