イーロン・マスクのTwitter買収劇、その真実に迫る:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
イーロン・マスク氏によるツイッター買収劇は、どのようにして始まったのか。マスク氏とツイッター社のこれまでの関係や「敵視」を向けたタイミングなど、ここ数年のツイート内容などから考察する。
マスク氏の狙いは
その考えを広く伝えるために、今回の「買収劇」を繰り広げているのではないのか。事実、マスク氏は買収でもうけるつもりはないと断言している。自分が買収すれば、取締役の役員報酬はゼロにするとまで言っている。世界一の大富豪だから当然かもしれないが、基本的に彼は、テスラからもスペースXからも給料はもらっていない。
もともと、おちゃらけたキャラをツイッターでも披露してきたマスク氏。今回の買収も冗談か本気かは分からないといった声が飛び交う中、筆者は同氏にはピュアなところがあるように感じている。宇宙への移住、環境問題、地球規模のインターネットアクセス、そして言論空間の自由――。その理念は本気なのだろうと見ている。
4月5日、マスク氏は気になる画像をいくつかツイートをしている。
小さなドミノがいくつものドミノをつたって、大きなドミノを倒さんとする写真だ。小さなドミノには、「Zip2をコンパックに3億500万ドルで売却」と書かれ、大きなドミノには「ツイッターがついに編集ボタンを追加」と書かれている。イーロンと書かれた人物がその小さいドミを今にも倒そうとしている、というものだ。
南アフリカ出身のマスク氏は子ども時代にカナダへ移住し、12歳でインベーダーゲームのようなゲームを開発。その後は名門の米ペンシルバニア大学を卒業して、米スタンフォード大学の大学院を2日で退学。Zip2を立ち上げて後に売却し、それを元手にペイパルを共同設立した。そこから宇宙開発のスペースXを起業し、テスラの会長にもなった。
要は、Zip2が彼のキャリアのスタート地点であり、そこからツイッターの編集機能追加まで上り詰めた、ということを言いたかったのだろう。
今後、マスク氏がツイッター社に対して、どんな動きを見せていくのかは予想不可能だが、目が離せないことだけは確かである。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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