KADOKAWAが宇宙産業に出資した理由 ホリエモンが描く「ニュースペース2.0」の世界とは:ホリエモン×夏野剛(4)(3/4 ページ)
ドワンゴは、大型展示会「ニコニコ超会議」(超会議)を4月29日(金祝)と30日(土)に幕張メッセでリアル開催する。
民間でロケットを打ち上げる安全保障上の意味
堀江: そういえばロケット開発の漫画も始まりますよ。『左利きのエレン』のかっぴーさんが漫画を描きます。
夏野: おお、いいじゃない。これは非常に大切で、子どもたちは『宇宙兄弟』を見て宇宙飛行士になりたいと思っている人が圧倒的に増えたんですよね。ということを含めて、やっぱりIPをやってる当社が、このホリエモンのチャレンジを応援しなくてどうすると。ということで出資をしたわけです。
堀江: だけど防衛は、ものすごく安全保障にかかわる部分なので、本当に民間でちゃんとロケットを打ち上げておかないと、有事に何が起こっても知らないよっていう話にはなりますね。特にね、今回のウクライナの件で、東南アジアがビビっていると思いますよ。東南アジアはあそこまで軍事費をかけられないので、戦闘機ももちろん空母なんか持てないし。だから空からの監視が大事なんです。
夏野: 空からがあるから対戦車ミサイルのジャベリンが生きるし。あとは特攻ドローンが生きるんですよね。
堀江: そうなんですよ。だから空からの監視はすごく大事で、東南アジアは中国に南沙群島を取られた苦い歴史があります。日本がなぜ尖閣諸島を取られないかっていうと、それは那覇基地から毎日2回か3回スクランブルをしているからですよ。F-15が。
夏野: スクランブルしなくなったら見ていないってことで一気に来ますよ。
堀江: そうなんですよ。だから、日本は、いずも型護衛艦を空母に改造して東シナ海に常時展開していますけど、今度はオホーツク海にも展開しなきゃいけなくなった。漫画『空母いぶき』の世界が本当にやってきた。でも実際にF-35が配備されますからね。
夏野: こないだ「いずも」に着艦していましたね。
堀江: だけど、ロシアはどうするんですかね。
夏野: ロシア黒海艦隊旗艦のモスクワもやられましたね。
堀江: 調べてみたら、ロシアって重巡洋艦はほとんどないんですよ。空母も一隻しかない。しかも、二隻あった空母のうちの一隻は、ウクライナが中国に売っちゃったんですよね。
今回のウクライナ戦争は、これロシアの落とし所はドンバス地域の占拠でしょ。この落とし所を、ウクライナがOKするかどうかなんですけど。
堀江: しないんじゃないですか。
夏野: だから、OKするまではロシアは攻めようと思っているわけですよ。だからこういうことが実際に起こるわけなので。
堀江: でも兵站ギリギリだし、ロシアは兵器の追加生産はできないですよ。
夏野: だから長丁場になると、ウクライナのほうが圧倒的に有利になりますよね。
堀江: だから極東の守りも結構手薄になりますよ。
夏野: ならざるを得ないでしょう。部品を回さなくちゃいけない
堀江: ロシアってサプライチェーンがズタボロになっちゃているので、ちょっと厳しいかもしれないですね。
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