吉野家、ミスターチーズケーキ、牛宮城、食品表示で炎上が絶えない根本原因:専門家のイロメガネ(3/7 ページ)
元雨上がり決死隊の宮迫博之さんの焼き肉店で、メニュー表記をめぐってトラブルが発生し、大きく報道された。高級チーズケーキを販売するMr. CHEESECAKEでもTwitterでの炎上騒ぎがあった。表示をめぐる問題はたびたび発生しているが、一度発覚すると企業のブランドを大きく損なう。企業はどうすればいいのか。
牛宮城やミスターチーズケーキにペナルティは課されるか?
では牛宮城やミスターチーズケーキに対して、何らかのペナルティが課されるかというと不透明だ。
消費者庁がWebページで公開している資料「令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示などの適正化への取組」によると、表示に関する問題として消費者庁が新規に取り扱う案件は年間300件程度だという。
そのうち措置命令が出されるのは例年50件程度と、日本全体の企業や事業者の数から考えて多いとはいえない。措置命令よりは軽い“指導”などの対応をしている件数は年間で200件ほどあるとされるが、表示に関する問題をすべて捕捉できているかといわれると、十分ではない。
消費者庁が、新規に取り扱う表示に関する問題は年間300件程度、そのうち措置命令が出されるのは例年50件程度だという(出典:消費者庁、令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示などの適正化への取組)
ミスターチーズケーキでは、希望する顧客に対して代替商品を追加で発送するとしている。しかし偽装表示を行った事業者の中には、対応を取らない事業者も少なくない。
そういった店舗に対しては、顧客が損害賠償請求することも考えられるが、ハードルはかなり高い。健康被害などが発生すれば話は別だが、ほとんどの場合は代金が少額で、裁判をするにはあまりにコストがかかり過ぎるからだ。少額の被害では泣き寝入りになってしまうケースが多い。
では、事業者側が法的な問題をうまくやり過ごせば、問題は解決するかというと、決してそうではない。表示に関する問題は、企業の営業姿勢や誠実さが問われる部分であり、対応を誤るとブランドやイメージを大きく損なうからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
宮迫「牛宮城」は成功するか カギを握る“実力者”の正体と、売り上げ「1日100万円」の壁
元「雨上がり決死隊」で、現在はユーチューバーの宮迫博之氏が高級焼き肉店「牛宮城」をオープンした。経営の支援をしているのは、ハンバーガー店などを経営する“実力者”。高級焼き肉店のビジネスモデルを分析する。
吉野家元常務の舌禍事件から考える マーケティング業界の病巣とシニア権力を持ち続けるリスク
「生娘をシャブ漬け戦略」という破廉恥ワードはなぜ生まれたのか。背景にはマーケティング業界の問題と、シニア世代の価値観があると筆者は指摘する。
「生娘をシャブ漬け戦略」で大炎上! なぜ吉野家の役員は“暴言”を吐いたのか
吉野家の常務取締役企画本部長が、女性向けマーケティング施策を「生娘をシャブ漬け戦略」などと表現して、大炎上している。それにしても、なぜ大手企業の役員がこのような“暴言”を吐いたのだろうか。筆者の窪田氏は……。
「バイトテロ」ならぬ「上層部テロ」で炎上の吉野家、それでも株価は上がり続けるワケ
吉野家では「バイトテロ」から一歩進んで、「上層部テロ」が脅威となっているようだ。しかし、吉野家は複数の炎上を経ても株価が下落するどころか、むしろ上がっているのだ。