揺らぐ「新卒一括採用」 学生・企業はどう思っているのか(2/2 ページ)
日本企業では一般的に、卒業を控えた学生を限られた期間に大量採用する「新卒一括採用」が行われている。この手法はメリットも多い一方で、「転職市場の成長を抑制してしまう」「学生に過度なプレッシャーを与える」というデメリットも指摘されている。学生や企業は、どのように捉えているのだろうか。
企業側の考えは
では、企業は新卒一括採用についてどう考えているのか。
最も多かった回答は「新卒一括採用を続けたい」で、全体の45.6%を占めた。とはいえ「新卒一括採用でなくても問題ない」とした企業も38.6%となっており、「すでに一括採用は行っていない(新卒に関わらず通年採用している)」との回答は12.3%、「新卒一括採用ではないほうが良い」との回答も3.5%ある。
新卒一括採用を継続したい企業の理由は「通年採用では教育実施の手配が難しい」「知名度の低い企業にとっては、目安となる活動期間が明確なほうが採用につながりやすい」など。少数派ながら「新卒一括採用ではないほうが良い」とした企業からは「必要なタイミングで採用活動を実施したい」「常に中途採用の求人を出しているため、特にこだわりはない」といった声が上がっている。
テックオーシャンの長井裕樹代表は今回のアンケート結果を「新卒一括採用と一口に言っても、そこには就職活動の早期化やキャリア採用との競合、年功序列制度の是非など多角的な問題を内包しており、簡単には反対と言い切れない葛藤が表れているのではないか。研究や論文制作などで忙しい理系学生は、採用方式が変わることで就職活動全体の見通しが立てにくくなることに不安を覚えるようだ」と総括している。
アンケートは、2月14日〜3月2日にかけて理系学生(23卒学部生、大学院生)および企業を対象に実施。有効回答数は、学生が568件(男性420件、女性148件)、企業114件。
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