なぜ吉野家は「炎上3連チャン」をやらかしたのか わずか1カ月半の間に:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
お客様相談室長、常務取締役、採用担当者――。吉野家の炎上が止まらない。わずか1カ月半の間に、なぜ「3連チャン」をやらかしたのか。その背景に何があるのかというと……。
炎上リスクのある企業
筆者はこれまで報道対策アドバイザーとして、主に広報部や総務部、時に人事部などコストセンターの人たちと仕事をしてきたのだが、コスト効率化で仕事が雑になっていく人たちを山ほど見てきた。
なによりも「効率化」が重視されるようになるので、問い合わせ1件に対応する時間や労力はできる限り少なくされる。定型文をコピペしてメールで一括送信したり、トラブル処理も腹を探ったりせずにいきなり結論を突きつけて、サクサクとスピーディーにさばいていったりということが求められていくのだ。
そのように「効率化」が進んだ管理部門の人たちと話をして感じるのは、人と人とのコミュニケーションが「雑」になっているということだ。相手の話をじっくり聞くような時間は「効率が悪い」と捉えているのか、とにかく「わが社は」「私の立場としては」と自分の考えや都合を一方的に押し付けてくるような人もいる。
こういう「雑なコミュニケーション」は、社内では問題ない。オブラートに包まないので相手に真意が伝わりやすく、サクサクと仕事が進む。しかし、外の世界の人間にはかなり違和感がある。大企業としてはあり得ないような、非常識で自己中心的なコミュニケーションに見えてしまうのだ。
この「効率化の落とし穴」に、吉野家もハマってしまったのではないか。つまり、この2年で「効率化」を急速に進めたことで、その影響をモロに受けたコストセンターの人たちのコミュニケーションが急速に「雑」になっている恐れがあるのだ。それが、「失言炎上3連チャン」を招いているのではないか。
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