なぜ吉野家は「炎上3連チャン」をやらかしたのか わずか1カ月半の間に:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
お客様相談室長、常務取締役、採用担当者――。吉野家の炎上が止まらない。わずか1カ月半の間に、なぜ「3連チャン」をやらかしたのか。その背景に何があるのかというと……。
雑な言葉が雑な行動に
この仕事をやってきて感じるのは、企業の「失言炎上」というのは、その組織内部の人たちが直面している不満やモチベーション低下などが具現化しているケースが多々あることだ。社員の失言というのはある意味、「心の異変」を知らせるアラートなのだ。だから、経営者はそこを注意深く観察すべきだ、と筆者は思う。「人間」というものの本質を知っていた、マザー・テレサもこのように言っている。
「思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから」
お客様相談室、マーケ担当役員、そして採用担当者という人たちの「言葉遣い」が相次いで「雑」になっていることは、吉野家のコストセンターで働く人たちの思考が「雑」になっているからではないのか。
そして、「その雑な言葉」が「雑な行動」になってしまう恐れもある。そのような事態が起きる前に、ぜひ吉野家の経営陣の皆さんは、急速に進めた「効率化」に副作用がなかったのか、もう一度、しっかりと検証をしてみてはいかがだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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