カインズ土屋会長が「慣れない英語で質問」したワケ “IT小売企業”への一歩:長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」 カインズのDX編(4/5 ページ)
東急ハンズCIO・メルカリCIOなどを務め、独立した長谷川秀樹氏が、IT改革者と語る「IT酒場放浪記」。今回のゲストは、カインズの土屋裕雅会長。デジタル事業への100億円以上の投資を表明し、IT化を進めているカインズ。その背景にあった「出会い」とは?
土屋: 「コトを売る」って、難しいと思うんですよね。われわれはディズニーランドとは違いますから。
いや、ディズニーランドのようなモデルを作れるのであれば、目指してもいいのかもしれません。例えば、入場有料のコーナーを作るといったことは、全くあり得ない話ではないと思います。
一方、僕たちは、同じ仕事や趣味を持つお客さまのコミュニティーを作り、体験を共有できる。そうした方々に繰り返し買ってもらう、より愛用してもらうといった積み重ねが「コトを売る」ことにつながるのではないかと思っています。
長谷川: なるほど。お客さまのコミュニティーの中で、「あれはいいらしいで」「ほんまか」みたいなことが自然発生的に起こって売れていく。それがカインズにとっての「コトを売る」であって、催事や体験コーナーといった「コト売り場」を増やすというわけではないということですね。
土屋: そうですね。それは、僕らの方向性ではないんじゃないかと思います。
自分がやりたいからやる、これが本当の「DIY」
編集者: カインズのIT戦略はもちろん、東急ハンズの買収もビッグニュースだけに、どこか遠い話のように感じていました。でも、二人の話を聞いていると、あのとき2人が出会ったからとか、こんな会話をしたからとか、とても身近な出来事のように感じます。
長谷川: 点と点が線になる、その連続が人生だから。「人生が自分の思い通りにならない」と言う人がいたら、僕はそれは違うと思っています。人生は、ほぼ自分の思った通りになっていると思っているんです。
なぜなら、人間、思った方向にしか動いていかない。作家になりたいと思ったら、明日から書き始めるしかない。自分には無理だと思って何もしなければそこで終わり。思いが強いか薄いか、思ったように行動しているかいないかで決まるんです。
仮に、思い通りにならないことを会社や組織のせいにしている人がいるならば、そうじゃないんだと。会社が嫌なら辞めたらいい。辞めてはダメという法律があるわけでもないのに、何を文句言うてはんの。あなたはまさに自分が思った通りの人生を歩んでいるんだぞ、と。
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