改正「道路交通法」が施行 “スタイリッシュな電動車いす”に商機か:75歳以上の「運転技能検査」新設(1/2 ページ)
5月13日、改正道路交通法が施行された。この改正では、75歳以上のドライバーの免許更新手続きが変更。一定の違反歴がある場合、運転技能の検査が義務となった。これを受け、電動車いすなどの近距離移動を助ける製品の需要が高まると考えられる。
5月13日、改正道路交通法が施行された。この改正では、75歳以上のドライバーの免許更新手続きが変更。一定の違反歴がある場合、運転技能の検査が義務となった。検査に通過しなかった場合、免許の更新はされず、免許を返納した場合と同等の扱いとなる。
交通コメンテーターの西村直人氏は、「後期高齢ドライバーによる交通事故は社会問題と化しています」と話す。同氏は12日、改正道路交通法の施行を前に、電動車いすメーカーWHILLが開いた発表会で、後期高齢ドライバーを巡る現状について解説した。
西村氏は、「2021年末の時点で、75歳以上の後期高齢ドライバーは609万人。免許保有者全体の7.4%です。10年前は374万人で4.6%でした。つまり、この10年で後期高齢ドライバーの割合は、約1.6倍に増えました。後期高齢者が運転者となる場合での事故の発生件数は、それ以下の年齢層と比べて2倍以上と高まっています」と道路交通法の改正の背景にある課題を説明した。
19年の池袋暴走事故の発生時には、特に高齢者の運転に対する危機意識が高まったと解説。その結果、免許の自主返納数は過去最多の約60万件となったが、20年には約55万件に減少している(警視庁のデータより)。
“スタイリッシュな電動車いす”に商機か
後期高齢ドライバーの割合は、人口が少ない地域で特に高くなっている。免許を返納した後の移動手段がない地域が多いためだ。こうした地域の中には、「そろそろ危ない」「運転能力が低下してきた」と分かっていても、生活のために免許を返納できない人がいる。
今回の改正道路交通法では、そのような人が検査に通らず、本人の意思に反して免許の更新ができなくなる可能性がある。
この状況を受け、「近距離移動のマーケットがより着目されると考えています」と話すのは、WHILL日本事業本部の池田朋宏氏(執行役員・本部長)だ。
池田氏は同社が提供する電動車いすの「WHILL」について「誰もが乗りたくなるデザイン、誰でも簡単に運転できる操作性、屋外屋内問わずに小回りが利く性能」を重視していると紹介した。
関連記事
- 「氷河期の勝ち組」だったのに……40代“エリート課長”に迫る危機
自分をエリートだと信じて疑わなかったサラリーマンが、社内の方針転換により出世のはしごを外されることがある。エリート意識や、能力主義への妄信が生む闇とは──? - 給与と労働時間、どちらを優先? 日立とパナソニックの「週休3日」は全く違う
連日「週休3日」が話題になっている。日立製作所とパナソニック ホールディングスが相次いで2022年度中の導入を検討していると発表したことがきっかけだ。しかし、日立とパナソニックの「週休3日」は全く異なるものだ。どういうことかというと……。 - ソフトバンクG1.7兆円の最終赤字 孫正義氏「手元に現金を厚く持つ」戦略とは
ソフトバンクグループは5月12日に、2022年3月期の連結決算を発表した。最終損失は1兆7080億円で、過去最大の赤字となった。同社の前期業績は過去最高で、国内最大の純利益(4兆9879億円)を記録していたが、1年で大きく赤字へと転じた。 - ラーメン業界に黒船来航! 約90秒で「アツアツな本格ラーメン」を作る自販機がすごい
JR東京駅、羽田空港、首都高芝浦パーキングエリアで、ラーメン自販機「Yo-Kai Express」の設置が始まった。いったい、どんな自販機なのか? CEOが話す強みや戦略は? - 22年10月「パート等の社会保険加入拡大」で何が変わる? 企業が注意すべき点
2022年10月の「パートタイマー等の短時間勤務者に対する社会保険加入拡大」は、企業経営者に大きな影響を及ぼすだろう。これまで社会保険に単独で加入していなかったパートタイマー等が、法改正により強制加入対象となると、本人の保険料負担が発生し、企業側は法定福利費が増加することになる。詳細を解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.