仲間の死、脳梗塞に倒れたドラマーの復活 ラウドネスが切り開くビジネスモデルの「誕生前夜」:CDや配信の「次の一手」(6/8 ページ)
デビューから41周年を迎えた日本のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS(ラウドネス)」。所属事務所の社長に、コロナ禍以降のラウドネスの活動、ビジネスモデルについて聞く。
高崎晃「今も達成感がない」
――高崎さんはインタビューで「今も達成感がない」とおっしゃられていましたが、61歳にして類まれなハングリー精神の持ち主ですね。
アーティストによっては、曲が書けないからアルバム作りに苦労しているという話も聞きますが、彼は「スタジオに機材を全部そろえたら、2週間ほどで何かしらの作品を作る自信がある」と言っています。楽器の開発も進めるなど、本当に音楽中心の生活です。
中学生の時に音楽で食べていくと決めて、修学旅行にも行かなかったくらいですからね。61歳になり、普通のサラリーマンなら定年を過ぎた年です。ですが、手が動かないとか、体が動かないとかいった状況にならない限り、音楽をなりわいにして悔いのないよう生きるって感じじゃないでしょうか。
――ラウドネスでは、コロナ禍前後からいろいろと新しいビジネスも取り入れていますね。
ライブ会場での物販だけでなく、Web通販のためのECサイトもあり、ビールやシャンパンなどいろいろなグッズも販売しています。また、ラウドネスにはオフィシャルファンクラブがありませんでしたが、4月に「Fanicon(ファニコン)」というサイトでファンコミュニティーを開設しました。ファンクラブの在り方も、従来あったような定期的に会報を出すだけでなく、よりSNS的になってきていることから、会員制にして情報を発信するものにしています。
また、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)で楽曲を販売しました。これは購入者に個別にシリアルナンバーを入れた形で、購入者のみに提供されるものです。恐らく、日本のロック界では、ラウドネスが最初だったと思います。
――今、音楽ビジネスはどちらかというとサブスク化している傾向にありますが、ある意味では反対の戦略ですね。
サブスクやYouTubeが当たり前になっていて、「NFTって何ですか?」と敏感に反応する人もいるし、何だか分からないという人もいますね。
ただ、最近では海外の大物アーティストもサブスクに曲を出さない、過去の楽曲も取り下げる事例も出てきています。あと面白いのが、ヘヴィメタルファンは、フィジカルなものが欲しいということで、カセットテープが売れていて、むしろ海外では主流にもなってきています。
知り合いに中古レコード店さんがいるんですが、高校生がLed Zeppelinのアルバムを買いにきたりするそうなんです。その子たちには、レコードやCDの原体験がないわけですが、YouTubeやサブスク的なもので音楽を知り、「レコードは音が良い」と買いに来るそうです。私たちの世代とは違う音楽の消費形態が広がっているのかもしれません。
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