ドル円相場は円高に反発か? 為替を動かす要因を考える:金融ディスラプション(1/3 ページ)
急速に円高が進んだドル円相場に反発の兆しが見えている。5月24日のドル円相場は上昇し、1ドル127円前後まで円高が進んだ。4月末から5月頭には、一時131円を超える水準まで円安が進行したが、一服感も出てきた。ではこの後のドル円相場をどう見るか。
急速に円高が進んだドル円相場に反発の兆しが見えている。5月24日のドル円相場は上昇し、1ドル127円前後まで円高が進んだ。4月末から5月頭には、一時131円を超える水準まで円安が進行したが、一服感も出てきた。
ではこの後のドル円相場をどう見るか。「(円安方向に)かなり行き過ぎな状況になっている」と分析するのは、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストだ。
為替変動をもたらす要因
為替相場は、2国間ーー今回でいえば日本と米国の関係によって変動する。しかも、短期、中期、長期といったスパンで、変動をもたらす要素が異なることが特徴だ。
短期では、二国間の金利差によって為替が動く。金利の安い国で資金を調達して、金利の高い国の通貨を買い、運用すれば、金利差分だけ利益が出るというのが根拠だ。これを一般にキャリートレードとも言う。
現状、米国は高まるインフレに対応するために金融引き締め、つまり利上げを進めている。一方で日本は黒田東彦日銀総裁が緩和継続を宣言するなど、利上げの見通しはない。米国は3月に政策金利を0.25ポイント引き上げ、2022年は計7回の利上げが見込まれている。政策金利の誘導目標は2.75〜3%となる見通しだ。
為替は、こうした将来の利上げ回数を事前に織り込むことで変化する。金利先物市場が織り込む利上げ回数とドル円レートの推移を見ると、きれいに一致して連動している。日米の金利差は、ドル円が110円前後だった21年秋の1.3%前後から、足元2.6%程度まで拡大しており、こちらも二国間の金利差が為替に影響していることを示している。
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