サービス解約者の5人に1人が再登録 完全栄養食「BASE FOOD」のやめさせない仕組みづくり:サブスク会員は10万人を突破(1/3 ページ)
完全栄養食の「BASE FOOD(ベースフード)」は、定期購入型サービスの利用者が10万人を超える人気ブランドだ。その人気を支えているのは、「BASE FOOD Labo」呼ばれるコミュニティーサイトの利用者たちだ。彼らはなぜ、BASE FOODに強い愛着を抱くのだろうか。
ベースフード(東京都目黒区)は、1食で1日に必要な栄養素の3分の1を摂取できる完全栄養食「BASE FOOD」を同社のWebサイトで販売している。定期購入型の「継続コーススタートセット」は「パンセット」「パン&クッキーセット」「パン&パスタセット」の3種類があり、指定したセットが4週ごとに届く。
2017年に販売を開始。22年5月現在、定期購入者は10万人に上る。直近2年間で新規会員が急増。20年2月の月間定期購入者数と比べて、約10倍にまで伸長した。同社の齋藤竜太CMO(最高マーケティング責任者)は新規会員が増加した背景について、このように話す。
「BASE FOODに関する口コミはSNS上で月に9000件ほどに上る。現在はコンビニでも展開しているので、口コミを見て気になった人が購入し、そこから定期購入につながるという流れが生まれてきている」(齋藤CMO)
口コミを増やすための工夫として、商品パッケージや配送時のダンボールのデザイン、同封する冊子など、SNSに投稿したくなる工夫を施している。そうすることで、商品を受け取った新規会員が感想などの口コミを投稿する好循環が作れているという。
もちろん、BASE FOODがこれほどの人気になった理由は新規会員の獲得に成功したからだけではない。既存利用者の熱量の高さも大きなカギとなる。同社が特に力を入れているのが、継続コース利用者の交流の場となっているコミュニティーサイト「BASE FOOD Labo(ベース・フード・ラボ、以下ラボ)」だ。18年11月に立ち上げ、現在の会員数は2万人を突破した。21年6月発売の「BASE Cookies(ベースクッキー)」もサイト利用者の声を反映して開発された商品だ。
齋藤CMOは、「商品の開発に積極的に関わってもらえるよう、ラボでは会員を“研究員”と呼んでいる。ラボに参加することで、商品を買って食べる以上の体験ができる」と話す。
ラボの参加者は、おすすめのアレンジを共有したりアンケート機能を利用して他の参加者に意見を求めたりとさまざまな使い方をしている。会員同士で情報交換をする以外にも、会員が食べ方に関する疑問を投稿した際には、ラボ専属の管理栄養士がコメントを残してくれる。ラボの参加者はラボに共通の価値観を見いだしているので、コミュニティーとして機能しやすいのだろう。
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