店内に鳴り響く「キュイーン!」 川崎重工が“メカの駆動音にあふれた”未来型レストランを運営する理由:ロボットが調理から配膳まで担当(1/3 ページ)
配膳を担当するロボットが、目の前に料理を運んでくれる。店内には常に「キュイーン!」「ウィーン!」というメカの駆動音が聞こえてくる。ここは川崎重工が運営する「Future Lab HANEDA」。なぜ、そんな施設を運営しているのか?
「ご注文の料理でございます――」
配膳を担当するロボットのNyokkey(ニョッキー)が、目の前に料理を運んでくれる。配膳が終わると、まん丸な目をしていた顔が笑顔に変わった。その間、店内には常に「キュイーン!」「ウィーン!」というメカの駆動音が聞こえてくる。そんな中で、客はおしゃれなカレーやスープを楽しむ。
まさに人類が夢見た「未来型レストラン」の光景ではないか。
ただし、これは漫画の一コマではない。川崎重工が運営する「Future Lab HANEDA」(東京都大田区)での実際の光景だ。この施設は、調理から配膳まで全てロボットが担当するレストランが入っていて、ネット上ではちょっとした話題になっている。あるツイートには5月31日時点で2万を超える「いいね」が付き、「何これ最高の環境では」「一台ほしいな。卵のからを割るのに使いたい」といったコメントも見られた。
Future Lab HANEDAで提供されるメニューはドリンク付きの3種類だ。「華麗なる22」SETは、22種のスパイスで作った濃厚マッシュドカリー、特別栽培米を使ったご飯、産地直送の無農薬サラダで構成されている。「ROO玲瓏」SETは国産野菜たっぷりのカンガルーミートソース、特別栽培米を使った玄米麺、産地直送の無農薬サラダだ。
「良縁三十」SETは国産食材たっぷりのスープ、グルテンフリーの米粉の塩こうじパン、産地直送の無農薬サラダをつけた。メニューは食作家、園山真希絵氏がプロデュースしている。地方の食材を生かしつつ、ロボットが調理することを前提にしたメニューを提供。白砂糖や小麦粉、化学調味料を使用せず厳選された素材のみを使用したという。価格は体験料を含めて1500円に設定している。
全てスマートフォンで注文を受け付けてからロボットが料理を始め、10分ほどで提供される。ロボットはその間も、「ウィーン!」と音を立てながら、ゆっくりと調理や配膳の準備を進めていた。
例えばカレーを頼むと、ロボットがカレーを温めて封を切り、容器に注いでくれる。中身を全部出すために、レトルトパックをゆするといった極めて「人間的な」作法もお手の物。
同社によれば、ここではロボットが配膳しやすい「ロボットフレンドリー」な家具をレイアウトしているという。そうすることによって人とロボットが共生する社会を目指す「実証実験」をしているのだ。
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