サイバーエージェント藤田晋社長が、ホリエモンの宇宙ビジネスに出資した理由:「イーロン・マスクになる可能性がある」(1/3 ページ)
サイバーエージェントがインターステラテクノロジズに出資を決めた理由を藤田晋社長がホリエモンに明かす。
北海道大樹町のロケットベンチャー、インターステラテクノロジズ(以下、IST)は2021年12月、シリーズDラウンドで第三者割当増資により総額17.7億円を資金調達した。引き受け先となった企業のうちの1社が、IT企業のサイバーエージェント。社長の藤田晋氏とIST創業者の堀江貴文氏は旧知の仲だが、ISTにも、宇宙ビジネスにも初めての出資となった。
藤田氏と堀江氏は22年2月に東京都内で対談し、今後の宇宙ビジネスの展望などについて語り合った。ITmedia ビジネスオンラインではこの対談の模様を2回にわたってお伝えする。前編では、サイバーエージェントが出資を決めた理由を藤田氏が堀江氏に明かす。
藤田晋(ふじた・すすむ)株式会社サイバーエージェント代表取締役。1973年、福井県生まれ。サイバーエージェントを1998年に創業し、2000年に史上最年少社長(当時)として東証マザーズに上場。「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンに、「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」をパーパスに掲げ、ABEMA、インターネット広告、スマートフォンゲームなど革新的なビジネスを数多く手がける。『渋谷ではたらく社長の告白』『起業家』『藤田晋の成長論』など著書多数。堀江貴文氏との共著『心を鍛える』(KADOKAWA)が22年2月17日発売
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。2019年5月にはインターステラテクノロジズ社のロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機(MOMO3号機)」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。『ゼロからはじめる力 空想を現実化する僕らの方法』(SBクリエイティブ)、『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)など著書多数
前澤氏の宇宙旅行によって宇宙が身近に
堀江: サイバーエージェントグループには、ISTにたくさん出資していただきました。率直に言って、宇宙ビジネスをどのように見ていますか。前澤友作さんが宇宙旅行をしたことで、盛り上がってきていますよね。
藤田: まさか宇宙に行くなんて思っていませんでしたが、前澤さんが行って帰ってきたことで僕も行けるのかなと、ちょっと身近に感じましたね。宇宙旅行をするには、訓練や体づくりみたいなことが必要ですか。
堀江: 宇宙ステーションに行って帰ってくるだけだと、自動操縦なので別に訓練はいらないですよ。加速度も最大で3Gくらいです。重力の3倍。だから、激しいジェットコースターよりは楽で、70代や80代でも健康な人なら宇宙に行けます。
ただ、宇宙飛行士になぜ訓練が必要かというと、あれはサバイバル訓練です。大気圏への突入角度が少しずれただけで、着陸先が数百キロずれて、雪山や凍った湖の上などに着陸する可能性があります。そういう失敗をしたときのために、サバイバルできる訓練をしています。
藤田: そういう話を聞くと、行きたくはないですね(笑)。
堀江: もちろん、そうならないようにコンピュータで制御してミスがないようにしています。近い将来は訓練もいらなくなると思いますよ。
初めて会ったときから宇宙開発の話
堀江: 宇宙のことについて、あまり2人で話したことはないですよね。
藤田: それこそ20年以上前に初めて会ったとき、堀江さんは目を輝かせながら「宇宙に旅客機を飛ばす」と言っていましたよ。そういうビジネスをいつかやると。
98年に堀江さんが経営するオンザエッヂのオフィスに行って、インターネット広告サービスのサイバークリックを一緒に作ってほしいと話をしたときのことですね。堀江さんはずっと喋り続けて、最後は全部宇宙の話でした。
堀江: そうだっけ(笑)。
藤田: そう。だけど、サイバークリックはよくサーバーダウンしていたので、故障が怖いから堀江さんのロケットには乗りたくないと言っていました(笑)。
堀江: いやいや(笑)、サイバークリックはスピード重視で、とにかく最速で立ち上げて普及させようとしていたので、98%から99%の確実性で動かしていました。スピードと安全性はトレードオフですから。それは分かってやっていたので大丈夫です。
藤田: そうですね。でも宇宙開発をいつかやると言われると、話が大きくてこちらは話すことがないみたいな感じでした。
堀江: あの頃BSのテレビ番組に僕ら2人と野尻佳孝さんの3人で出演して、それぞれ宇宙ロケットを作る、藤田テレビを作る、ホテルを作ると言いました。みんな作っちゃいましたよね。藤田さんはABEMAを、野尻さんはTRUNKホテルを作りましたから。
藤田: そういう番組に出ましたね。当時、上場企業の20代の経営者はわれわれ3人しかいなくて、みんなで吹かしまくっていました。
堀江: でも、それからだいたい10年くらいでみんな実現しているので、いいんじゃないですか。あの頃は結構失笑されていたから。
藤田: 当時は失笑されるのが日常みたいな感じでした。
堀江: それから時代が下って、状況が変わりました。ABEMAも藤井聡太さんの活躍で将棋チャンネルが盛り上がっていますよね。ABEMAの局面が変わってきている。
藤田: まだ物足りないですけどね。
堀江: ミッドナイト競輪を放送して、競輪のインターネット投票サービスを運営するという連動も面白い。
藤田: そこはかなり伸びてますね。
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