日本は「Web3」で勝てるのか 残念ながら「前途多難」:世界を読み解くニュース・サロン(2/6 ページ)
自民党が「岸田トークン」の配布で「Web3」に乗り出そうとしている。これまでインターネットなどで遅れてきた日本に、「Web3」で勝算はあるのだろうか。現時点で見えている課題は……。
なぜ「Web3」なのか
まず大前提として、なぜ「web」「3」なのか。その理由は、過去のインターネットの歴史に、「Web 1.0」「Web 2.0」という時代が存在しているからだ。
「Web1.0」は、1995〜2000年代半ばまでのインターネットのことを指す。基本的にはインターネットは見る、読むためのものだった。
筆者がインターネットを使い始めたのも95年ごろで、今とは比べものにならないスピードの遅さと限られた情報量だったが、新しい世界に入り込んだ高揚感は忘れられない。大学のコンピュータ室にしょっちゅう立ち寄って、いろいろなWebサイトをネットサーフィンしながら読んでいた(つまり「read only」だった)のを思い出す。
それが「Web 2.0」になると、私たちがいま利用しているようなインターネットになっていく。つまり、見るだけでなく、誰もが情報を発信できるようになった。オンラインのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が発展し、大勢と相互のコミュニケーションが可能になった。
ただそんな流れに伴って、「Web 2.0」の世界では、大手IT企業である「GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの総称)」がオンラインの世界を牛耳る形になり、こうした企業は私たちユーザーのありとあらゆる個人情報を蓄積して利用しながら、広告ビジネスなどで肥大化した。
GAFAMは、情報配信やビジネスを実施するための基盤(プラットフォーム)を提供する事業者(プラットフォーマー)であり、もはやGAFAMなしではインターネットは便利に使えないほどになっている。
そうした「集権的」な現状を変えていくと期待されているのが、「Web 3.0」つまり「web3(ウェブスリー)」なのである。「Web3」は、「集権的」の反対で「分散型」のインターネットを目指している。
一部が支配するインターネットからの脱皮である。それを実現するために、「Web3」で押さえておく必要があるポイントは2つ。ブロックチェーンと「DAO(分散型自立組織)」だ。
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