高島屋ネオバンクがスタート 年利15%相当の「スゴ積み」で狙うもの:金融ディスラプション(1/2 ページ)
高島屋は6月8日、住信SBIネット銀行が提供する「NEOBANK」サービスを用いたスマホアプリ「高島屋ネオバンク」の提供を開始した。「友の会」のデジタル版にあたる「スゴ積み」も用意し、年利15%相当の積立機能も提供する。
高島屋は6月8日、住信SBIネット銀行の銀行インフラ「NEOBANK」サービスを用いたスマホアプリ「高島屋ネオバンク」の提供を開始した。「友の会」のデジタル版にあたる「スゴ積み」も用意し、年利15%相当の積立機能も提供する。
「高島屋に新しいお客様、特に次世代層の方に来ていただきたい」。高島屋ネオバンクのプロジェクトリーダーを務めた平野泰範執行役員は、狙いをこう話す。初年度で2万7000口座を目指す考えだ。
高島屋ネオバンクでは、住信SBIネット銀行の銀行インフラを使い、顧客に高島屋のブランドで銀行サービスを提供する。預金や振込などの機能もあるが、投資や積立に使ってもらい、貯まったら高島屋で買い物してもらうことを目指した。標準ではプラスチックカードも発行せず、アプリを使ったATM利用、またApple PayやGoogle Payを介したデビットカード決済を用意する。
サービスの目玉として用意したのが、スゴ積みだ。これは百貨店各社が提供している「友の会」をデジタル化したもの。毎月一定金額を積み立てると、1年後に1カ月分をボーナスとして提供する。積み立てた金額は、高島屋のレジでアプリ画面を見せることで利用可能。年利に直すと約15%にあたり、お得感を訴求する。
友の会は高島屋の場合1962年から提供しているサービスで、現在50万口座と業界最大級を誇る。ただし、従来は店頭窓口に現金を持参して積み立てる必要があった。デジタル化は今回が初めてだ。
「友の会は、お客様同士のふれあいの場、コミュニティ形成がもともとの目的。“お教室”の運営も行っていて、そこではお客様同士が親交を深めている。そして、わざわざ来れば、何かしら買ってもらえる」と、高島屋友の会の高久充社長は言う。元来は来店を促すツールの一つであり、オンライン化は馴染まない。
それでも、コロナ禍の影響でシニア層が中心だった友の会は大きな打撃を受けた。「完全に非接触で運営する道も作っておかなくてはならない」(高久氏)ということで、用意したのがスゴ積みだ。
ただし既存の対面型友の会とは併存を目指す。「既存の友の会からの移行はお勧めしない」(高久氏)
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